外宇宙通信コミュニケーション研究部 地下帝国編 第三話 はい、入りました。

「ズズチャッチャズチャチャチャ♪ ズズチャッチャズチャチャッチャチャ♪ ふーんふふーんふふーんふーんふーん♪」 グーニーズ!? 「おいおい、どんどん暗くなってくぞ」 太郎の言うとおり。 俺たちは洞窟に入ってちょっと歩いたところだ。 「いいね。」 「いや、よくない」 俺が反論に出る。 「ここならまだ引き返せる。 戻ってスキーを続けようじゃないか。」 言うと、シホが俺を睨みつける。 口をあけて何かを言おうとした時、体のバランスが崩れた。 それと同時か、それよりも一瞬、前だったか、 洞窟の入り口付近で轟音が鳴り響いた。 そして、俺は倒れた。 「いたた・・・何よ・・・」 とシホ。 俺は立ち上がった。 そしてシホの姿を探したが、暗くて何も見えなかった。 入り口が・・・塞がれていた。 「大丈夫か、みんな」 太郎が言った。 「大丈夫も何も、私はなんともないですよー」 シホは無事だな。 「暗いよぉ〜・・・」 かえでっちも・・・一応無事。 メカとサマナーは無事か? いやいや、あん王女とずんきって意味だ。 「ここ」 とやけに静かな(いつも以上に静かな)あん王女。 「こっちは大丈夫だ」 ずんきの声がする。 「どうやら閉じ込められたみたいね」 何故か嬉しそうに聞こえるシホの声。 冗談じゃない。 こんなところで犬死は御免だぜ。 さっさと脱出方法を考えよう。 「フラッシュ」 あん王女が何か言った。 途端、ランタンに火を灯したかの如く、 辺りは徐々に明るくなっていった。 「うおっ、まぶし」 勘弁してくれ太郎。 「おおう、すごいわねーあん王女。」 「人差し指に組み込まれてる発光体に熱を加えた。 これで・・・安心。」 最後の安心。という言葉は自分に言い聞かせてるようにも聞こえた。 光に目が慣れた。 さて、それでは塞がれた入り口を掘るとするか。 「危険だ。」 俺の行動を察したのか、ずんきは止めに入った。 「二次被害が出る。」 入り口を塞いでいる土を掘り起こそうとしたところで、 再び頭上から土が落ちてくるかもしれないと、 そんなことをずんきは説明した。 「じゃあどうするんだよ」 と太郎。 「ひとつ、奥を目指す。 ふたつ、少し躊躇しながら奥を目指す。 みっつ、ダイナミックに」 「もういい」 「ビーバーッ!!」 はい、今日で二度目ね。 残念だ。 もう逆らっても部長権限は絶対らしいので 渋々了解してやるよ。 「よっつ」 あん王女がシホに付け加えるように言った。 「ここで救助を待つ」 安全策?否、消去法だな。 奥に進むのは危険だからな。 だがそれは違う。ここだっていつ崩れるかわからない。 そんならシホについていって他の出口を探したほうがいいと思う。 「なぁ、あん王女 ここで待ってても救助なんて来るとはわからないんだぜ」 俺は言った。 「・・・行く」 「そーうこなくっちゃ!!」 とシホが嬉しそうにあん王女の手を取る。 「みっつめの、ダイナミックで。」 シホがブイサインをしながら言った。 ちくしょう、見てくれだけは捨てがたいのに。 神はなんでこんないい女にこんな脳みそつけたんだ。 いや、ドイツ語できるのはスゴイと思うぞ。 ということで、俺たちは洞窟を奥へ奥へと進んでいるわけだが。 「な、な、な、なんか音、聞こえたような・・・気がしたん・・・だけど・・・」 相当ビビってるな、かえでっち。 そりゃそうだ。 いつもいつも臆病な女子をこんなところまで連れてきて、 さらにはこんな変な機械音が響き渡る・・・って、えええー!? 「聞こえたぞ、今!!」 俺はシホの方に向いた。 シホの顔は、目の前に宝箱か牡丹餅でもあるかのように目を輝かせていた。 「ほんと、聞こえる!!なんかあるなんかある!! 行ってみよオーッホ!!アーオカシイ!!」 シホが走り出してしまった。 もうああなってしまった以上、彼女を止めるすべはゴールを見つけることしかない。 もしくは宝箱。 もしくは牡丹餅。 「おい、待てってば!!」 太郎も走り出した。 「おいてかないでぇーん」 半泣きで追いかけるかえでっち。 残ったのは俺とあん王女とずんき。 「ガキかあの部長は」 「あとで伝えておくよ」 「へーじょー、おまえ先輩を売るのか」 なんだかよく喋るな、ずんき。 やっぱり動揺しているのだろう。 「進む。」 「あいよ。」 あん王女が歩き出したので、俺もついていく。 ずんきは俺の隣にいる。 少し歩いた時、あん王女は人差し指に息を吹きかけた。 すると周りが一気に暗くなる。 「ん?どうした?」 「出口。節電。」 「ああ、そうか」 あん王女の口から節電なんて言葉を聞くとは思わなかった。 って、出口!? そうか、もう出口か。 シホはその先で悔しがってんだろうなきっと。 あん王女の言うとおり、その先は少し明るくなっていた。 確かに出口はあった。 そこから出ると、地面は土ではなく、コンクリートで出来ていた。 上を見上げると、天井があり、蛍光灯が光っている。 天井は土だ。高さ4メートルといったところか。 その中に直接蛍光灯が埋め込まれていた。 どういう仕組みだ? 「出口じゃないみたいだな」 ずんきが言った。 確かにこの風景は違う。 ゲームとかに出てくるダンジョンか何かの広間のようだ。 「おーい、みんなーこっちー」 かえでっちの声。 出口、というより、通路から出てきた俺たちは、 視線を上に向けていて、真正面にいたかえでっち達には気付かなかった。 俺たちはかえでっちに近づいていった。 「見てよこれ」 シホがめずらしく驚きながら、俺たちの方を向かずに言った。 シホが見ていたもの・・・ それは真正面にある・・・巨大な・・・エレベーター・・・? さっきの機械音はこれだろうな。 だが、なんでこんなところにエレベーターがあるんだ? 車が四台ぐらい入りそうなエレベーターだ。 「おい、ちょ・・・なにしてっ!!」 止めようとしたがもう遅かった。 俺はシホに耳を引っ張られ、エレベーターの中に引きづり込まれた。 エレベーターの開いていた扉が、閉まる。 「出してくれー!!」 と言っても外には誰もいない。 部員全員は俺より先に乗っていた。 「ボタン押すな!!シホ!!いや、部長、おねがいします!!」 と、俺が土下座して言った。 「なんだ、いやなら開けるボタン押して出ればいいのに」 シホがそう言った。 そうだな、自分で開けて出ればいいんだよな、まだエレベーターは動いてないわけだし。 俺は人差し指を立てて、開閉ボタンの右側、つまり開のボタンに手を伸ばした。 そして押そうとした、瞬間、 「おおーっと失礼〜」 パシッと上から手を叩かれて、他の階へ行くボタンを押してしまった。 「あああああああッ!!」 なんてことしてくれるんだこのアマー!! きっと俺は今、相当絶望的な顔をしているんだろう。 かえでっちは最早、正気ではなかった。 エレベーターは機械音を立てて動き出した。 もうしょうがない、こうなったらとことん付き合ってやろうじゃないか。 エレベーターの重力の感じが望ましくない方向に行っている。 上へ行けば地上に出れるだろうに、 どうしてこのエレベーターは重力が・・・薄いんだ? ジャンプすれば天井届きますよ? あーあ、そうか、下ってるのか、下ってるのね。 「さぁ・・・」 玄関についている呼び鈴のような、 高い音が鳴った。 「地獄の一丁目、ついたわよ。」 シホが言うと同時に、エレベーターの扉は開かれた。 シホが言う地獄がここなら、本物の地獄に行っても楽できるんじゃないかと思ったよ。 「生贄の諸君、行こうか」 太郎が言った。 その言葉を聞いてシホが微笑した。 「乗ってきたじゃんさわちゃーん」 「ぶ、物騒なこと言わないでよ!!」 かえでっちのツッコミ。 「さあ、出た出た。 これから地底人がお腹を空かせてお待ちかねだよ」 「っひ、ひぃぃぃぃぃぃ!!」 かえでっちがエレベーターの奥に引っ込んでしまった。 「おいおい、怖がらせちゃダメだろ・・・ ほら、かえでっち、行こ」 俺は手を差し伸べた。 「あ・・・うん へーじょー、ありがと」 「いえいえ、 シホといると色々あるのは、もうしょうがない、運命だからさ、 諦めて楽しもうぜ」 「ちょっとそれどういう意味!?」 後ろからの視線が痛い。 頼むから見ないでくれ部長。 「すばらしい」 と、同じく後ろから声がした。 振り向くと、紫色のタキシードを身に纏った・・・ 鼻の下に顔をはみ出すほどの長いヒゲを生やした・・・ シルクハットを被った・・・ ステッキを持った・・・ ジェントルマンがそこに立っていた。 ジェントルマンというのはあくまで俺のイメージだ。 その男は釣り目だった。 「地上からの訪問者かね、ムシュー」 ステッキを振り回し、そして床に突きつけた。 「案内しよう、私はノーレル・ローチ。 王家の跡取りつまり王子様。」 部員、対応に困る。 「・・・おい、おまえらは王子様を知らんのかッ!! 王子様だぞ、王子様!! イケメン、貴公子、白馬の王子様、バドミントンの王子様!!」 いや、違う。 きっとあれだ。 最後のはボケだろうな、ツッコミ待ちか? 「・・・えー・・・ なんで誰もツッコまないんだよ!! ええー!?どういう教育受けてんだよ貴様等ー!?」 「義務教育と義務じゃない教育」 「み、見事な受け答え!!マドモアゼル、名は?」 「シーホー・ミレレルレ」 「ダコー。マドモアゼル・ミレレルレ。 東洋人にしては変わった名だな」 見事に騙されてるこの王子様。 俺たちはノーレルに促され、エレベーターを降りた。 そこは、ショッピングモールかなにかのように、 華やかに彩られていた。 真前には、柵があり、筒抜けになっていた。 下の階と上の階が見える。 まさに都会にありそうなショッピングモールだ。 上の階の天井は見える。 四角く枠どりされた蛍光灯がこれでもかと輝いている。 下の階、一番下の階の床を見ようとしても、 下へ下へと行くにつれ、暗くなってて見えない。 ここは最上階付近らしいな。 「これから君たちを―」 ノーレルが言い出した。 「収容所にご案内する」 一同、唖然。 戻る