外宇宙通信コミュニケーション研究部 地下帝国編 第十四話 決戦開始!!
---さわちゃんside--- 日が変わって、俺たちの決勝戦の日になった。 なんだか外が慌しい。 お祭騒ぎだな。 どうやら観衆やドライバー達が、エリアデスバレーに向かっているらしい。 結局、昨日には、シホとへーじょーは帰ってこなかった。 「決勝戦・・・だね」 部屋の窓から外を眺めていたかえでっちが言った。 「ああ。」 「応援するから、ね?」 「うん。」 俺とかえでっちがそうこう話している時、ずんちゃんもあん王女と同じように話していた。 シホとへーじょー、応援にかけつけないとしても、 一体何をやってるのだ、あいつらは。 「シホとかは何をしてるんだろーね。」 「大丈夫だよ。何も心配することじゃないと思うよ?」 「違いねぇ。」 俺がそう言って、かえでっちの顔を見ると、彼女は移動する人達を見て微笑んでいた。 その笑顔を俺にも向けて、何かを手渡してきた。 「ん?これは・・・?」 「お守り。私がいつも守ってもらってるお守り。 あげるんじゃないからね、あとで返してね。」 俺はそれを受け取って、眺めていた。 「ありがとな。」 言ってから、俺もかえでっちのように、移動する観衆達を眺めていた。 「優勝すれば、地上に出れるかもしれないんだよなぁ?」 「優勝しなくても・・・あの部長は何か考えてくれると思うよ?」 「実際、今でももう行動に移ってるのかもしれねぇな・・・」 俺は、そう言って、その場を離れて、車庫に降りていった。 そこにはジャンが待っていた。 「最後の戦いじゃ。」 どうやら事前にセッティングを済ませていたらしい。 ジャンは、作業服を着ていた。 「勝つさ・・・絶対にな・・・」 俺は、シフトフランカーの車体に触れて、キャノピー越しに操縦席を覗いた。 「ずんちゃん、行くぞ!!」 ---へーじょーside--- 最上階には中々つかない・・・というか何故こういうことになったんだっけ・・・。 オードルデュの部屋を出て、それから黒吾耶先生に出会って、彼がキープしていたと思われるビーム剣とビーム銃を受け取って、 城の中の兵士と戦闘を繰り広げながら進んできていた。 俺は、なんとなく、なんの理由もなく、ふっと、時計を見た。 「・・・おい、日が変わっちまってるぞ・・・ ってことはさわちゃん達の決勝戦じゃねぇか。」 俺が言うと、シホは、口を尖らせて、目線を上に持っていってから、何かを言おうとした。 「大丈夫でしょ。」 それっきり、シホは前を向いて前進を再開した。 「それよりもなんで俺たちはここにいるんだ? インタビューが終わったらすぐに帰る予定だったじゃないか。」 「姉さんが、この城を落とすって言うから、協力するだけよ。」 「でも、本来俺たちの目的は、地上に脱出すること・・・」 「姉さんは、この地下に不正につれてこられた奴隷達を解放するために来たのよ。 私達のことだって考えているわよ。」 そうならいいんだが・・・。 どうも涼子さんには、いい加減さというか、軽はずみな所が多いようにも見えるのだが。 ・・・流石、血は争えない、か。 「キングローチを逮捕しーの、奴隷解放宣言をしてもらいーの、そんな感じ。 志穂と怜治くんには、援護を任せるわ。」 黒吾耶先生が、「俺は・・・?」って言ってるのも無視したもんだから、拗ねちゃってるよ。 「そこの曲がり角、敵。」 「え?」 なんで見ても無いのにわかるんだ・・・? 涼子さんは、超能力者には見えないのだが。 黒吾耶先生が、曲がり角の前で、ビーム銃を構えた。 壁に背中を当てて、出るタイミングを窺っているのだ。 そして、一瞬で、壁の角を中心に、弧を描くようにそちら側に出て、ビーム銃を連射した。 「ここは蹴散らしたぜ。」 驚いた。 黒吾耶先生が敵を倒したのはさておき、本当に、涼子さんの言うとおり本当にそこに敵が潜んでいたということに。 「どうして敵の位置が・・・」 俺が聞こうとしたら、彼女は髪の毛を払って、耳元を指差した。 「なるほど・・・」 遠隔通信の小型携帯機器をつけていた。 「と、なるとこの城にもう一人お仲間がいるということですね?」 「違う違う。 JSOの空中司令塔機レイワンっていう巨大飛行機から司令が届いてるの。」 JSOってそんなすごい組織だったのかよ!! 「いいから行くわよ。」 シホが言った。 彼女の言うとおりである。 「懐かしいな、こういうことするのも。」 黒吾耶先生が、辺りを警戒しながら言い出した。 「俺が宇宙探偵時もこんな仕事が多々あった。」 「まさか、とは思うが・・・ファイブズって宇宙探偵知ってるか?」 俺が聞くと、黒吾耶先生は鼻で笑った。 そして、ニヤリと口元を緩ませて言った。 「ファイブズは、俺が所属していた組織だ。」 「世界は狭いな。 俺はそのファイブズの要員と何度もあってる。 夢の中で。」 その途端、黒吾耶先生の表情は真剣な表情になる。 「レッドピンだな・・・。」 「・・・知ってたんですね。」 黒吾耶先生が先頭を切って廊下を早足に進んでいく。 彼は、歩きながら、言った。 「レッドピン・・・彼はファイブズのリーダーだ。 ファイブズは、グリーントロル、イエローモンク、ブルーレイ、ブラックヴァロン・・・ そしてレッドピン、この五人で組織されていた。」 「戦隊モノみたいですね・・・って、あれ? ブラックヴァロンって・・・シホがつけたあだ名じゃないんですか?」 「それが、神様のイタズラなのか、偶然に同じだっただけなんだよな。」 すごいな・・・ 「でもそいつはコードネームだ。他の奴等の名前もな。」 先生は性質の悪いイタズラに出遭ったかのように、含み笑いした。 「まさか志穂」 再び真剣な表情。 そしてシホの隣に行く。 「おまえ、当時から俺のことを探っていたのか・・・?」 「そんなわけないじゃない。 どうして私がエセイタリア人のストーカーをやらなきゃならないの?」 先生に向かって・・・言いすぎだぞ。 「まぁいいや。」 先生は、再び前に出る。 「あるとき、ドデカイ任務が入った。 それがマトリオシカという組織の潜入捜査。」 !!? 世界はこうも簡単につながるものだったのか? 「当時、宇宙のどこかしこに手を伸ばしていた法外組織だ。 地球の支部は、ヤクに賭場、売春、密輸にコンツェルンとやりたい放題だった。 まぁ他の惑星とかはもっと酷かったけどな。」 急に声のトーンが下がる。 「テロとか。」 ボソッと言った。 「マジっすか。」 「まぁ地球にもあったんだよね、そういうこと。 ホラ、いつだったか、あったろ。あれそうだ。」 あれと言われて思いつくのはやっぱりあれしかない。 だが、あれは、首謀者も見つかって、しかも組織なんて大それた物じゃなくて、一国のテロが起しただけだったと思うが。 それでまぁよくわからんが、その国の大統領が死刑になったとか。 それからはよくある騒動で騒がしかったな。 どうも世界情勢には疎い。 それがマトリオシカの糸引きで・・・? 「俺らはマトリオシカの本拠地まで割り出したが。 踏み込みすぎたのが悪かった。 その記憶だけ消された。」 なんと。 宇宙には地球人もしらないビックリテクノロジーがわんさかなんだな。 前から思ってたけど。 「記憶を消され、ファイブズは、雇い主の事務所に転送された。 ただ、そのときは、レッドピンだけいなかった・・・。 彼が帰ってきたのはその二日後。 それから彼は変わった。」 「どのように?」 「シスコンになった。」 ・・・。 話の流れがつかめねぇ・・・。 「事故で意識不明の姉の寝床に寄り添って、 僕が助けるからねだとか、云々、たまにヤバイことしてたな。 動かないのをいいことに。」 近親相姦かよ。 「数日後。レッドピンは行方不明になった。 そのまた数日後だ、マトリオシカの元要員の内部告発によって、レッドピンが現状に至った事を知らされた。 もちろんその内部告発した奴は、死んだ。 他殺の形跡があるが、上からは、自殺と発表しろ、と圧力掛けられた。」 恐るべしだなマトリオシカ。 地球ではただの不思議箱が、なんともそんな巨大組織。 相手に回したくない組織だな。 「もう回してるじゃない。」 と、シホ。 「あんたの息子もマトリオシカとつながってるって言ってなかった?」 後悔先に立たず。 終わったな。 「ぐだぐだ喋ってるとー、撃たれてまうでぇー。」 話に集中していて気付かなかったが、ほとんどの敵を涼子さんがカバーしていた。 俺たちの援護が全く役に立っていないではないか。 さっきっから思っていたが、俺等は宇宙の最高技術の粋を集めたビーム兵器で戦ってるが、 涼子さんは、素手と薙刀と忍術っぽいのしか使っていない。 ライフル銃を変り身の術(本人曰く、変り蓑術)で避け、隠れ身の術(本人曰く、隠れ蓑術)で欺き、 秘技インビジブルで気づかぬ間に相手の懐に入り込んで攻撃していた。 「涼子さんってジャパニーズニンジャですか?」 「違うでー。私はただのスパイ。」 だけどやってることがすごい。 これがJSOの全員が体得している技術だとしたら、それもそれですごい。 「さぁ、あと少しや。」 涼子さんの関西弁は作ってるようにしか聞こえないのは何故だろう。 キャラ作ってるのだろうか? 「最上階の様子を今、聞いてるからな、ちょっと待ってな。」 涼子さんがそう言って立ち止まるのを見て、俺たちも立ち止まる。 耳につけた通信機に指を当て、そして会話を始めた。 「カーン・・・ うん、あと少しで最上階・・・ うん・・・うん・・・おっけー。 それで? ・・・うん、約束する。 でもそういうこと言うと寿命縮むでー。 注意してーな。ほなな。」 彼女は、向き直って階段を見る。 それを上れば恐らく、最上階だろう。 さっき窓から外を見たとき、曲がりくねった城の先が見えた。 その地点に今いると思われる。 「寿命縮む、って何を言われたんですか?」 「あーん、そんな野暮ったいこと聞かんの。」 野暮ったいことなのか? 「うちのサポーターさんがな、 『この任務が終わったら、一緒に故郷の温泉行こうな』って言うもんだから」 「あー、そりゃ即死だわ。」 シホが答えた。 なんで?なんで即死なの!? 疑問が残ったままだったが、黒吾耶先生が「行こうぜ」と言うもんだから涼子さんもシホも俺を置いていこうとしたので、 しょうがなくその疑問は迷宮入りのまま、俺もついていった。 キングローチを逮捕するまで、あと階段数段。 それが終われば、俺達は恐らく・・・ 「へーじょー」 「なんだ?」 「あんたも発言には気をつけたほうがいいわよ。」 「どうして?」 「へーじょーが、死んじゃうかもしんないから。」 「そうか、部長なりに俺のことも心配してくれてるんだな。」 「ビーーーーーバァーーーーーッ!!」 きっと今までの特大のキーボードクラッシュだった。 今の発言で、俺の死因、キーボードによる殴殺。以上。 ---さわちゃんside--- 「さぁー、各機スタートラインにつきましたー。 司会解説は、このわたくし、レッペンソン・キュロワリエ。 長らく人間一味に虐げられてきたゴキブリと呼ばれた我等ローチ族、 その我等が奴隷としてつれてきた人間と、その主のローチ族の為の娯楽と言ったら、 この帝国唯一、博打です!! その博打にもポーカー、BJ、ルーレットと、色々と出揃ってもいますもんですねー。 だがねぇ、帝国の王、キング・ローチ様は、満足いかぬご子息のノーレル様の為に、 新しく考えたのがこれ、そう即ち!! 地下帝国全地区対抗レース大会!! 我々はいかにこの日を待ち望んでいたことでしょう!! さぁー観客よ、ギャラリーよ、ギャンブラーよ!! これから紹介するレーサーをー、脳味噌とんと整理して耳糞かっぽじってよぉく聞けそして券売り場へ急げ!!」 妙にハイテンションなDJ風のナレーターのアナウンスが鳴り響いた。 俺とずんちゃんは、今、土の上。 そう、隣にはシフトフランカー。 約二十メートル右側には、ホバー系のレーサー。 そして反対側には、見るのも少し心に傷のジークシリーズ。 「エントリーナンバー一番、 普段はただのお菓子屋、中でも評判はデリバリーサービスのプリン!! 彼は愛機で猛スピードでそのプリンを運ぶ運ぶ!! されどもそのプリン一度も崩れたことはない、元奴隷という十字架は過去の記憶!! レーサーはフジワラ!! そして駆るのは、ホバー系のワイルドウィンド・キャトーヴァンシス!!」 歓声が鳴り響く。 ワァーという声に、サァーッという拍手の音。 そして、右隣のレーサーが、少し前に出て、観客席に向かって手を振って礼をした。 そうか、彼がフジワラか。 俺は、彼の所に行って声をかけてみることにした。 「フジワラさん。」 「お、おう・・・。」 「なんだ、驚いてるのか?」 「いやいや、緊張してるのさ・・・」 それでも、緊張しすぎだと思う。 凍えてるわけでもないのに小刻みに震えている。 「俺も緊張はしてるけどさ、それは・・・」 「俺は・・・俺はレースなんか出ようとは思ってはいなかったんだ。」 「え?」 「俺が速いレーサーだって、帝国政府は知っていた・・・いや、狙っていた。 だから、八百長の為に、俺をこのレースに参加させた・・・。」 「辞退は考えなかったのか?」 「ああ・・・。恋人が人質に取られている。」 「・・・」 そういうわけアリなレーサーもいるわけだ。 「エントリーナンバー二番―」 俺は、フジワラさんに話が出来てよかった、ありがとうと言ってシフトフランカーの元に戻ってきた。 「ローチ族である彼はー、人間との交流も夢見ていた!! そんな彼は現在プログラマーとして活躍中!! レーサー、ハユー!! 駆るのは・・・ジーク・ル・トリ!!ジェット系!!」 俺たちから見て、フジワラさんとは反対側の方のゴキブリ(ローチ族)が両手を挙げて観衆に手を振っていた。 「エントリーナンバー三番!! 地下帝国の軍の武器を作っている工場、それには膨大な機材また材料が必要とされるがー、 もっと必要なのは頭の切れる経営者陣!! その経営者には奴隷からの下克上もあるんだってねー!! おおっと、彼は奴隷って言うと怒るんだっけね、 レーサーは、乎疳圃(アカントン)、 彼の乗るビークルは、ジェット系のジーク・ル・テトラ!!」 観衆のざわめき。 そして、レーサーはここで礼をしたりするのだろうけど、ここからでは隣のビークルの陰になって見えない。 他のレーサーも見るのは諦めよう。 「エントリーナンバー四番!!」 ・・・俺達だ・・・。 俺はずんちゃんにアイコンタクトした。 「経歴、肩書き一切不明、どこからやってきたのか来訪者!! 奴隷ではないとすれば地上からの救世主なのか、否!! ローチ族の王族のみなしえる人間への変身を成し遂げた姿なのか!! この二人、暗黒に包まれている!! タロイモとカズカシマ!!二人乗りでの挑戦ッ!! ジェット系のシフトフランカーで戦いを挑む!!」 ・・・ ずんちゃんは俺を見た。 何か物言いたそうに。 「あの名前はなんだ」 「偽名だよ。」 「もっとマシなもん考えろよ。」 ずんちゃんがこんなにキレたのは初めてだ。 「俺なんかカズカシマで恥ずかしい島みたいじゃないか。」 「だったら俺は、根菜だな。 島と根菜、どっちがいいか考えてみろ。」 俺達が言い合っているうちにも、アナウンスは続く。 「エントリーナンバー五番、 地上からの救世主を信じた奴隷、そして・・・ おおっと、今入った情報によると、地上から来た女子高生を匿っていた!! 軍からの司令、フジワラと一度挨拶せよ、さもなくば彼女の命はない、そう連絡が入った!! これは緊急事態ではないのかー!?レース続行可否の談判を行います!! しばらく待っていてください!!」 どうやらアナウンサーは、席を外したらしい。 その直後、俺たちの前を中国人のような顔立ちの男が通過した。 そして、フジワラさんの前に行った。 そうか、彼もまた・・・人質を取られて・・・。 「えー、遅れました。 今入った連絡によると、フジワラとの会話が終わり次第、 フジワラは、交渉成立となれば大きく腕で丸を作ってください、とのことです。 我々には一体なんのことかわかりませんが・・・ えー、改めまして、エントリーナンバー五番は、中国人の曲夜(きょくや)です。 乗るのはタイヤ系のホィールスター・・・。」 レッペンソンの声に焦りが聞き取れる。 そうだな、こんなどす黒いレース大会・・・。 「おや?見えます見えます!! フジワラ選手が腕で大きく丸を作っています!! 交渉成立のようです!!なんの交渉か分かりませんが!!」 俺たちの前を、再び彼は通過した。 彼が曲夜か・・・。 彼は悲しそうな顔をしていたが、俺達の方を見て「フッ」と笑った。 「芋・・・。フフフ」 ・・・言いたいことはよくわかった・・・。 「エントリーナンバー六番、ローチ族の中にもヒッキーはいた!! 毎日毎日ネットで暴言キモいよおまえ、そんな彼は自称会社員!! いつの日か、その自称が取れるといいんだけどもな!! レーサー、ガブバモ!! 操る機体は、ムシュルムMk-15、タイヤ系!! ヒッキーの癖にムシュルムシリーズ最新型だ!!」 言いすぎだよ・・・。 見えないが、彼、泣いてるぞ恐らく。 「エントリーナンバー七番!! 帝国を守っている軍は、一体どこの組織か!! それが今まで謎だったが公開されたぞ!! プリズンキャッスル!!それが軍本部の名前!! そしてその軍団長、クルッチョプワ!! 彼が乗るのは、リバース系のブラックセンコー!!」 軍団長は、年中無休で帝国を守るべきだと思うが・・・。 「エントリーナンバー八番!! 彼はもう説明する必要もありません。 そう、ローチ族の王子様!! イケメン、貴公子、白馬の王子様、そして!!バドミントンの王子様!! ノーレル・ローチ!! 乗るのは王族専用オイルフェイバー!! これはホバー系!!」 奴も出てるのか!? 「最後になりました・・・。 エントリーナンバー九番。 一体彼女は誰なんだ!?まったくの謎の人物です!! エントリーの際に職業は盗賊とお答えになった!! さらにはガルムベルド団の意思により、という意味深な言葉も残している!! レーサー、ローリィ、ビークル、モーンストンバイクだ!! 他のビークルと違い、こいつは裸の部分が多く危険だー!! それに地下帝国製の物ではないが、ホバー系と推測がつく!! こんな危険な奴だが、これは大穴かもしれない!!」 そして。 選手の紹介が終わった。 辺りは静かになった。 「券は買ったかー!?買ってなくてもレース最終トラックまで買うチャンスはある!! レースを見ながら検討して券を買うのも一手!! このエリアデスバレーを四周駆け巡る、その危険度最絶頂ー!! 全選手が三周終わった時点から券の販売を打ち切らせていただきます!!」 どうやらアナウンスも一旦止まったようだ。 「各レーサーは、自分のビークルに搭乗してください。」 今度はレッペンソンの声ではなく、女性アナウンサーの声だった。 俺たちはシフトフランカーに乗り込んでキャノピーを閉める。 他の選手も同じく・・・。 「各機の準備が整ったようです。」 女性アナウンサーが言った。 「どうだー?気分は!! 地獄のレースが始まる音楽をくれ!! エンジンスタート許可!!」 俺は、シフトフランカーの電源を立ち上げ、すぐにでも発進できるよう、地面から少し浮かせた状態にした。 他のビークルも、起動音で辺りを響かせた。 「それでは、目の前の信号機の合図を待ってください。」 女性アナウンサーが言った。 俺たちは、スタートラインの数十メートル先に、コースを跨ぐアーチ型の信号機に目を向けた。 信号機は、円形の液晶をまだ光らせていない。 プッ、と音と共に、最初の赤信号が光った。 二つ目・・・ 三つ目・・・ そして・・・青信号!! 「各機一斉スタート!!」 レースは始まった。 戻る