外宇宙通信コミュニケーション研究部 第五話 宇宙と書いてそらと読め

「俺の惑星、ユッケルベルトは破壊されました・・・」 衝撃だ。 物を失うときの悲しみや悔しさは分かる。 だが、自分の星を失う時の心の痛みというのが、想像できない。 きっと、地球が破壊されたら、ボクは気が狂ってしまうだろう。 そもそも・・・ こいつは本当にそんなところから・・・ 外宇宙からやってきたのか? 着ぐるみ・・・ってオチじゃないよな・・・? 「ボクはまだ信じてない。」 「なにぃ!!ナッツ王子!!」 「だからボクはナッツ王子じゃない。人違いだ。」 「な・・・そうなのか・・・」 ウサギはかなりへこんでいる。 しまった。 名前を聞いていない。 名前を聞かない限りこいつの表記がウサギのままになってしまう。 「名前は・・・?」 ずんきが先に聞いた。 流石、動物大好き人間。特に猫。 「俺は、ビール・マーテル・アンデラル・ミルマン・ユッケルベルト」 「・・・長い」 みんなが思ってたことを一発で言ったぞ、あん王女!! なんかすごい。 ビール・マーテル・・・? 覚えられん。 ビールで構わんとか言え!! 「俺のことはビールで構わん」 「びっ、ビールゥゥゥゥ!! ウボァァァア!!オホ、ッホー!!」 シホが笑い出した。 というより発狂? 「・・・あ、そういえば、傷が痛くない・・・」 ビールはおなかの包帯を見た。 「これはなんだ?」 「それは包帯と言って、地球人が怪我をした時に傷口を止血するものだ。」 ずんきが言った。 ずんきはビールに興味津々だ。 未成年だぞ、飲むなよ・・・ そのビールじゃない。とか自分の中で漫才をやってみたりする。 「行かなければ・・・俺は、アンセリオンに行かなければ・・・ 行ってナッツ王子のマトリオシカを倒さなければ・・・」 マトリオシカ? マトリオシカってあの箱から小さい箱が出てくるってあれか? ナッツ王子のマトリオシカってことはそのナッツ王子のクローンか何かだろうか・・・ 「動かないで・・・怪我してるから」 あん王女が言った。 「ダメなんだ・・・俺たちには・・・時間が・・・ない・・・ん・・・だ」 「死んだのか!?」 「・・・気絶しただけ・・・」 意外にもずんきとあん王女が一緒に看病している。 この二人って相性いいのか? 似た物同士だし。 後ろから見ていたブラックが手を叩いた。 「ハッハッハ、 こりゃまた面白い。 おまえら、しばらく学校休んでいいぞ。」 いきなり何を言ってんだ? 「何言ってるんですか?」 ボクは思ったことをそのまま言った。 「そいつをアンセリオンに届けてやるんだよ。」 「はぁ!?」 と、ボクが言った時、シホが前に出た。 「その依頼、のった。」 依頼なのか? 「・・・私も行きます・・・」 「・・・俺も・・・」 「んにゃ、いざ戦闘にでもなってみろ、俺が必要だろ?」 と、あん王女、ずんき、そして澤井が参加。 「シホ・・・」 ボクは言った。 「これは・・・部長命令か?」 シホは何も言わない。 何か言ってくれ。 そうだ、とか、いつもみたいに。 それがないとボクは覚悟ができない。 「やれやれ、怖いのは誰だって同じなんだよ。」 シホは言った。 それはかえでっちに言ってるようにも聞こえた。 「私・・・やるよ? ときどきビックリして・・・怖くなっちゃうかもしれないけど、やる!!」 かえでっちも参加ときた。 「ちぇっ、一人で留守番も寂しいよな」 ボクも参加だ。 「なら決まりだ。 おまえらのその気高き覚悟と、でっけぇ夢に賭けてみようじゃねぇか。」 ブラックが言った。 そして携帯電話を取り出した。 これからどこに電話するつもりだ? 「あの、どこに電話するつもりですか?」 「NASAだよ、なー、さー。」 今、NASAって言ったのか? どういうコネでNASAとつながるんだ? ってか今の話の流れでどうしてNASAなんだ? ブラックが電話をし終えると、 僕達のほうを見た。 「・・・残念だが、俺はついていけねぇ。 現役を引退しちまったからな。」 現役?引退?一体何を? 「俺の本名は、ブロウ・ノーテン・フリアルド・ニーバス・ヴァロン。 ヴァロン星のニーバス地区出身だ。 多分ビールは名前からして、ユッケルベルトのミルマン地区出身だろうな。 俺はこの星に来てからは宇宙探偵ってのを生業でやってたんだよ。」 なんだか大変なことになってきたぞ。 ブラックがそんな奴だったなんて・・・ まさかナッツ王子が俺の親父とかいう展開はやめてくれよ? 似てるからっていくらなんでも。 「NASAに話はつけた。 すぐにこっちに仲間と移動手段が回ってくるだろう。 それから、NASAからの圧力で、学校は公欠にしてもらえる。」 唖然だ。 何がって、この話はどっち方向に進んでるんだ? ボクは何を求めてる? 面白いこと? そうだ、笑顔を取り戻すために・・・この部活を作ったんじゃないか。 そうだ、行こう・・・ 「わかりました。 やりましょう!!」 シホが言い終わらないうちに廊下から走る足音が聞こえてきた。 数人だ。 そして部室にひとり、入り込んできた。 そいつは・・・見た目はカエルだった。 カエルがイメージ的に大佐とか呼ばれそうな服を着ている。 「私の名前は、カール・エル・フェンザス・オスロン・ユッケルベルト。 宇宙同盟第125空中隊37部の隊長です。 話はひととおり聞きました。 これからそこの兵士を運びます。」 そう言うと、廊下から担架を持ってきた青い顔の人(?)たちがビールを担架に乗せた。 「彼の名前は・・・?」 カールが聞いた。 「ビールです」 「ビ、ビール!!ぶっははははは!!」 カールが大笑いした。 同じ惑星の出身だろ、笑うなよ、可愛そうだろ。 「失礼、私、地球暮らしが長いもので、 あの酒のビールと・・・ぶっははははは!!」 やっぱりそうか・・・ 大笑いしてる分シホより酷いな。 「よし、それでは君達にもついてきてもらおう。」 カールが言った。 「やったぁ!! 早速、宇宙に出れるんだ!! いえすげっつろぉー♪ いぇーすげっつろぉぉおーすと♪」 「あ、いえ、すぐに出れるわけじゃないです。」 「ビーバー!!」 出た、喜んですぐキレる。 「でも行けることにかわりないんだから、 いいだろ?」 ボクは言った。 「いえすげっつろすと、アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! あ〜あqwせdrftgyふじこp@アハーおかしい!!」 何がおかしいんだろうか。 とりあえずボクたちはカールたちについていった。 カールの部下が先に、ビールを治療できるステーションまで運んで飛んでいき、 そしてカールと何人かの部下と僕たちは本校舎の玄関に残っていた。 すると、あのうるさい生徒指導の安藤先生がやってきた。 「こらー!!おまえたち!!なにやってるんだ!!」 と、ここでいきなり、ブラックが立ち上がった。 「おまえはうちの部員を侮辱した。ならば死ぬべきだ」 「な、なに!?黒吾耶先生!!生徒の肩をもつんですか!?」 そのとき、シホがやっと安藤先生の存在に気付いたようだった。 「安藤、おまえか!?」 「そうだが。」 先生に向かって、おまえか!?とは・・・ きっと暗くて見えなかったんだろ。 なんせ今は午前一時・・・ってうわぁぁぁぁぁぁあ!! 「いれるんか!?」 「君は2年の杜若さんだね!?」 やばいぞ、シホ、バレてるってことは・・・ 学校での成績が大変だ!! シホが安藤先生に近づいていく。 そして構えた!! って、えー!? 「ぶっこむ、チャーーーーーンスッ!!」 「ぶぐふぁっ!!」 安藤先生ぶん殴っちまったー!! 安藤先生は気絶した。 「オーホッ!!」 そんなにうれしいのか・・・ と、ボクが気付いた。 ボクの横にかえでっちが座っていて、そしてボクを見ていた。 「ん?なに?」 「え?あ、別に。なんでもないっ」 なんだろう、とても気になる。 その後、僕たちは、近未来系の空飛ぶ車に乗り、 宇宙に出た。 戻る