外宇宙通信コミュニケーション研究部 第六話 チュント

ボク、シホ、かえでっち、澤井、ずんき、あん王女、そしてカール。 僕達は、カールの所有する宇宙船、トニオン号に乗っていた。 もうとっくに地球は見えなくなっていた。 ボクはその時、大変なことに気付いた。 「宇宙服!!」 「え?」 みんながボクを異端者のように見る。 もちろんカールは操縦席なのでカール以外のみんなである。 もっとも、気付いたのは宇宙服だけじゃない。 地球の大気圏をでるときも何故かGがなかったぞ。 まぁそれはこれが最先端を行く宇宙船だということで納得がいく。 だが今は、宇宙にいるのに宇宙服を着ていないという大変な状況に見舞われた。 「トニオン号内には必要最低限の酸素があります。」 あん王女が簡単に済ませた。 たしかにそのとおりだよ、 この宇宙船には酸素があるよ!! 「あの、ボクが言いたいのは、 もしものことがあって、酸素がなくなったらってことを考えたってこと。 せめて宇宙服どこにあったのか教えて欲しいな。」 そうだよ、なんでボク以外は宇宙服みたいな物、着てるんだよ・・・ 「ん?あー、もうないよ? 6人分しかなかったし。」 軽々しく言ってくれるシホ。 ん?6人分? 「ちょっと、ボクらは6人でしょ? 充分ボクの分があってもおかしくない、 いや、ないのがおかしい。」 「カールが着てる」 ああー、納得。 つまりボクに死ねと。 そういうことか。 「みなさんはボクのことを考えてなかったんですか?」 ちょっときつめに言った。 かえでっちが泣き出してしまった。 「ごめんなさぁい そうだよね、へーじょー、 私が脱ぐから」 「いえいえいえいえ、とんでもない、 冗談を言ってみたまでです、あはははは」 棒読みで笑ってみせるボク。 一応これで笑ってるということにカウントされるといい。 しばらくして、青白い惑星が見えてきた。 なんとなくそれは地球に似ていた。 トニオン号はその惑星に向かっていった。 が、大気圏突入時に一人だけ椅子に着けず、 振動で身体各部をぶつけた者がいた。 世の中は理不尽なのである。 「んー、着いたー、空気が美味しいー」 一番にシホがトニオン号の外に出た。 今、吸ってるのは本当に空気なのか? ボクは疑問を抱きながらも外にでた。 「呼吸が・・・できる・・・」 椅子取りゲームで負けておそらくは全身打撲か、 よくても全身打身、そんなボクもシホの隣で大きく息を吸った。 いつの間にかみんなも外に出ていた。 そこでふと、我にかえってみた。 一体どこに着陸したんだ? 見た目ここは空中に浮かぶ空港か何かのようだが、 周りは高層ビルと思しきものでいっぱいだった。 これで空気が美味しいのかよ・・・ とりあえずボクたちは建物に入った。 一言、感想、 ここが地球ではないことが理解できるが、 それはどこを見ても霊長類やらホモサピエンスやらは見当たらないことが 原因であろう。 こんなのスターウォーズでも見たことない・・・いや、あるかも。 ボクたちが歩いて進むと、数人の地球人似の方々が目の前からやってきたではないか。 真ん中に、派手な衣装を着込んだ女性? それを取り囲むようにして・・・ 地球では彼等を護衛と呼ぶ・・・だろうな。 カールは、彼等を通り過ぎるとき、 一礼した。 と、そのとき、女性がカールに目をつけた。 「あなた」 「ハイ!?」 やばいのか!? カール、もしかして前、別れた女か!? 「あなたは賞金稼ぎのカール・エル・フェンザスですね?」 「・・・流石はプリンセス。 この星の代表・・・ それで?どんなご用件で?」 「・・・少しお話するお時間いただけませんか?」 ボクたちは彼等に連れて行かれた。 どこへ行くのだろうと思っていたが、 着いたところは地球で言うカフェにあたるもの・・・だと思う。 彼等が注文して持ってきてくれた。 なんかおごりらしい。 流石、プリンセス。 「今日はなんの御用で?」 カール、相手はプリンセスなんだろ? そんな態度でいいのか!? 「彼等は・・・アンセリオンの方ですか?」 「いえ、地球という偏狭の惑星でございます」 地球は偏狭じゃねぇ!! 太陽系の左から三番目(?)の惑星だ!! 「あの、しかし彼は、アンセリオンのナッツ・ギル・レインじゃないですか?」 ボクのことを指して言ったのか!? だよなぁ!! なんだよ、みんなナッツ、ナッツって、 そんなにボクがナッツに似てるのかよ・・・ 「そんなに似てますかね、プリンセス。」 ちょいときつめに言ってやった。 「別人でしたの?これは失礼。」 プリンセスの名前を聞いていなかった。 よし、聞いてみよう。 「あんたのお名前なんてーの?」 馬鹿野郎シホ!! ボクが聞こうとしたのにしかも、何が「あんたのお名前なんてーの?」だ!! 「私の名前ですか・・・ それは・・・アイ・ギル・レイン・チロ・アンセリオン」 !! 「ナッツ・ギル・レイン・バレルリア・ガザガの妹です」 驚いた!! カールはなんでさも知っていたかのように座ってんだ? 知ってたのか? 故郷を消した男の妹なんだぞ? 「兄は・・・もう変わってしまった・・・ 今ではガザガ帝国の王子となっています。」 兄妹なのに名前につく惑星名と地方名が違うなんて・・・ ん? おかしいぞ・・・ ビールはアンセリオンに向かっていた・・・ そしてプリンセスの名前にアンセリオン・・・ ここはアンセリオンと言ってるようなものじゃないのか? 「カール」 ボクはカールに小声で話しかけた。 「ここはなんて惑星ですか?」 「チュント」 「アンセリオンじゃないんですか?」 「アンセリオンは確かにここから近くにあると推測されているが、 未だ発見者はいない。」 「どういうことですか?」 ボクはアイの方を向いた。 アイはもちろんカールとボクの話なんて聞いていなかった。 でもボクはアイが嘘をついているのだと思った。 「あんたはアンセリオンのプリンセスじゃないんですか?」 「出身はアンセリオンよ。」 「やっぱりあんたも敵なんですか? 兄とグルになって帝国なんて・・・」 「何故? 聞きたいことがはっきりしないわね。 私はここ、チュントのプリンセス。 生まれはアンセリオンだけど、議会員になったのはチュントよ。 それまでは兄とアンセリオンで暮らしてたんだけど、 行方不明だった父親が帰ってきたという噂を聞いて、 兄はどこかへ行ってしまったわ。」 ボクは驚いた。 「話が出来てよかったわ。」 アイとその護衛が帰っていった。 ボクたちもカフェから外に出た。 シホはボクの前に出た。 「急展開ねぇーオッホホホホー!!」 そんなに嬉しいのか・・・ 「で?これからどうするの?」 声に震えが見て取れるぞかえでっち。 「もちろん!! 決まってるでしょ!! 悪の帝王、ナッツ王子の首!! いえぇすげっつろーすと♪」 「待て、問答無用で殺したら俺たちが悪役だぞ」 「ッビーバァァァアー!!」 どっから取り出したんだキーボード・・・ シホがキーボード叩いてる・・・ 澤井が驚いてる。 結局、いろいろあって、ボクたちはナッツ王子を倒すことになった。 「なぁ」 宿舎に着いて早速澤井が話しかけてきた。 「あのプリンセス、アイって名前だったよな、 それで思い出したんだけど、 おまえ昔さぁ、自分の子供にどんな名前付けたいか、とか言ってて、 それで愛がいい、とか言ってたよな。」 「それで?」 「いや、あの人の名前でおまえと遊んでたのを思い出しただけだよ。」 「そうか。」 家族・・・ ボクの親はどんな思いでボクに怜治という名前をつけたのだろう・・・ 今頃地球ではどうしてるのかな・・・ ボクはなんとなくあん王女を見た。 なぜだろう・・・ 「蜜柑・・・食べる?」 「あ、はい」 いつも持ち歩いてるのかこの人は・・・ ずんきは猫を撫でている。 って猫!! つれてきちゃったのか!? 「あの、その猫・・・」 ボクは言った。 「ああ、つれてきた。」 やっぱりー!! 数時間後、ボクたちは各部屋に行って眠った。 宿舎の外が騒がしい。 ボクは窓から外を見た。 宿舎は、銃のようなものを持った奴等に囲まれていた。 何が始まるのだろう・・・ 戻る