外宇宙通信コミュニケーション研究部 第八話 ほしのきつね

ボクたちは戦闘機のような船に乗っていた。 「この船の名前はオックスフォー。」 「ど」 ボクたちをさっき援護してくれた船長が言った時、 何かとシホが口を挟む。 「そして俺の名前は、キシル・アレン・ゼンバック・オスロン・ユッケルベルト」 ん?オスロン・ユッケルベルト・・・? 「あの、オスロン・ユッケルベルトってことは、 カールと同じ出身なのか?」 ボクが聞くと、カールとキシルは顔を見合わせて笑った。 カエルとタカだ。 「士官学校も同じだ。」 カールが言った。 「実を言うと、さっきから気付いてた。 ほら、デルアンデルの部隊に襲われた時から。」 そうだったのか。 話を聞くと、二人は仲のいい友人らしい。 その二人はやっぱりビールとも面識があった。 ただ、同じ所属部隊ってだけで、ビールとは話していなかったらしい。 「これから、我々はガザガ帝国に奇襲をかける部隊と合流する」 ・・・なんだって? ボクは思った。 なんかとんでもない話が進んでないか? ガザガ帝国ってたしかナッツ王子が支配する惑星かなんかだったよな・・・ そこに行くのかよ・・・ 「えー、やだやだ!!もうやだ、もうやめるー!!はい終了〜」 かえでっちが騒ぎ出した。 そりゃそうだ。 彼女には辛すぎる。 「かえでっち、大丈夫だって」 そんなかえでっちの仕草が可愛くて、 ボクはいつもこう接しているのだろうか・・・ 「・・・へーじょー」 シホと太郎がボクを見つめた。 「なんだ?」 「おまえ変わったなー、 いつもなら楓さんって言ってるのに。 今かえでっちって言ったよなー」 「え?うそぉ!?」 うそぉ!? うわ、ボクはどうかしたのか? ボクはなにか変わり始めているのだろうか・・・ と考えている時、船内が揺れた。 「母艦ハーバー」 「ど」 「に到着した。」 またシホがキシルに割り込んだ。 「これから君たちは共和国の味方だ。」 カールが船のハッチに近づきながら言った。 そしてハッチを開放し、外に出た。 ボクたちもそれに続こうとした。 船外の床は、金属で、光を反射していた。 オックスフォー号を完全に出ると、そこは戦闘機の格納庫のようになっていた。 梯子があり、どうやらそこを上っていくようだ・・・ というか、みんな空中浮遊してるぞ!? 何故だ!? って・・・宇宙だからか・・・。 ボクもみんなに続き、上階、オックスフォー号から見て上階に上がった。 そこには軍服を着た二人の兵士とおっさんがいた。 おっさんはボクに気付くと、笑顔を見せた。 「おまえら、お客さんが来たぜ」 おっさんが二人の兵士に言った。 兵士は振り向く。 一人は知っている顔だ。 最初に出会った・・・ この宇宙に出てきた時のきっかけになった奴、 ビールだった。 どうやら怪我は治ったらしい。 ビールのとなりにいるのは、狐顔な渋そうなお方。 カールとキシルは狐に近づき、挨拶した。 「久しぶりです、ゼィル隊長。」 握手を交わす。 「ビーバー!!」 「ぐほっ!!」 何が起きた!? ・・・ シホがおっさんをキーボードでぶん殴っていた。 って、何故キーボードを!? 「なぁ、ちょっといいじゃーん!?」 おっさんがシホに触れている。 「触るなぁぁぁぁぁぁぁあ!!」 「ぶへらっ!!」 セクハラ親父にキーボードクラッシャーの鉄槌。 ボクがその様子を不思議そうに見ていると、 おっさんはボクの方に来た。 「悪ぃ、紹介が遅れたな、俺はクレイジーってんだ。 よろしくな。」 クレイジーか・・・ たしかボクがシホと初めて出会った時にそんなあだ名つけられたっけな・・・ 「よろしく。ボクは鳥羽怜治です。」 「おーおー、おまえが。 やっぱりね。」 何が? 「あの、やっぱりってなんですか?」 「人生長いと色々あるんだよ。 まぁ俺の人生なんておまえのもっと後だけどよ。 ハッハッハッハッハ!!」 なんだこの変人・・・ なんか意味深な発言してるし。 その後、クレイジーはボクたち、研究部に自己紹介していった。 他の人たちとは面識があるようだった。 クレイジーがシャワー浴びてくるとか張り切って飛び出していったすぐあと、 狐がボクたちのところに来た。 「俺はゼィル・マンゼラン・スロット・ミルマン・ユッケルベルト。 ビール、カール、キシルたちを束ねるリーダーだ。 我々の星、ユッケルベルトは破壊された。 その復讐のために立ち上がったのが、我等、ゼィル隊だ。」 もちろん、ボクらは「へぇ〜」と言って名前以外は聞き流していた。 「お父さ〜ん♪」 「うおっ!?」 ドアの方から高い声がした。 おっさんは何かに飛びつかれ、宙に浮いた。 「おー、どうしたよ、アイ」 ん?アイ? 「お父さん、もう私、疲れたよー」 「そりゃそうだ。 女王なんてやってりゃー疲れるもんだ」 女王!? 「あの、娘さん、アイ・ギル・レインさんじゃないですか?」 太郎がクレイジーに聞いた。 「おう、よくぞ聞いてくれた。 そのとおり、俺の娘はチュントの女王、アイ閣下だ。」 女王、閣下って続けて言うのは頭が頭痛とか絶える絶望みたいだぞ。 「お久しぶり」 「お久しぶりです」 ずんきが言った。 たしかアイは父親が行方不明と言っていた。 なんかおかしいぞ。 本当にクレイジーがアイの父親なのか? 「・・・矛盾が生じる」 あん王女が言った。 「あなた達親子は、今まで一度も会ってなかった。 だけど今会ったにしては、会話に不自然さがある・・・ 本当は行方不明などではなかったのでは・・・?」 そんなあん王女を見てクレイジーとアイは目を丸くしていた。 「いや、だってさっき会ったんだから、不自然だろうよ。」 「そうそう。」 さっき会った? 「ちょっと待て、さっき会ったってどういうことだ? 俺たちが来る前に会っていたのか?」 「その通りだ」 どうやらそうらしい。 まだ話が飲み込めん。 何故、普通の学生で、普通の人間のボクが、こんな宇宙にいるのだろう、 そう考えているのはきっとボクだけだろう。 「ってことは・・・」 ボクはふと思った。 「クレイジーさんの息子さんが 悪の帝王、ナッツ王子なわけですね?」 「・・・その通りだ」 クレイジーが言った。 「さて、無駄話もここまでだ。 おまえら、ビーム剣の使い方には慣れたか?」 正式名称がビーム剣だったのか? あれは。 「いや、まだ使ってませんでした。」 「ダメだなぁー、それじゃ、いい男になれないぞ。 ホレ、こうやったりして」 「だから触るなって変人!!」 「ブギャァアーッ!!」 シホにビーム剣でぶった切られたクレイジー。 「ごふっ、なんだい、慣れてるじゃないか」 流血してますよ、思いっきり。 「なら話は早い。」 治ってる!? 「これからガザガに行って敵将討ち取って来い。」 クレイジーが命じた。 「しかしへーじょー、おまえはここに残れ。」 なにぃ!?なんで!?なぜだ!! 「おまえには重要な話がある。」 なに!?なんの話!? なんの話なのー!? 私は小型戦闘機、ケイズルに乗り込んだ!! 機械好きの私は腕が鳴るわぁーひゃひゃひゃひゃ!! って、ダメダメ。 落ち着かなきゃ。 コックピットで破壊行動したらそれこそお陀仏だわ・・・ 「ケイズル、レッドリーダー準備完了!! いえっすげっつろぅ、アッハハハハハハハハ!!」 ハハハ!!あー、おかしい・・・くないね、全然。 って、この無線全部丸聞こえよね・・・ 『・・・レッドツー、よいです・・・』 あん王女、いっつも静かよね・・・ 『レッドスリー、なんで部長がレッドリーダーを?』 「部長だからに決まってるでしょ!!」 『ごもっとも。』 太郎はいつもどおりね。 それでずんちゃんはどうなんだ? 『レッドフォー・・・いつでもいい』 いつでもいいみたいね。 最後に心配なのは・・・ 『レッドファイブ・・・モニターになんか移ってますがー・・・ ぅわー、こっち見ないで!!見ないでよ!!って、管制官ですかぁー、脅かさないでくださいー』 かえでっちが一番心配だ。 隣のゼィル部隊にはゼィル、キシル、カール、ビールが配属されている。 規則正しくルで終わってるよ、あー、おかしいおっほほほほ・・・ 名前じゃわかりにくいからキツネ、タカ、カエル、ウサギ、とでも言っておこう。 それから、へーじょーは何故呼び出されたのか・・・気になるわ・・・ それにクレイジーはなんでへーじょーっていうあだ名を知ってたのか・・・ へーじょーは鳥羽怜治です、としか言ってなかったような気がするけど・・・ まぁいいか。 「レッドチーム、行くわよ!!」 私はケイズルのエンジンを吹かした。 そしてハッチを勢い良く飛び出していった。 「・・・え・・・!?嘘・・・だ・・・ろ?」 「まったくの本当だ。 今は信じられないだろうがな。 だがそれも直にわかる。 俺もおまえと同じ年のとき、理解したんだ。」 「・・・それじゃあ・・・母親は? アイとナッツの母親は・・・?」 クレイジーは溜息をついた。 ボクはとても信じられないことを聞いてしまった。 本当なのか、嘘なのかもわからない・・・ 「いいか、若いの。 俺がそれを言ってどうにかなるってもんじゃねぇ。 何故ならば、それを言うことがおまえの為にならないってことと、 もしかすると運命が狂っちまう可能性だってあるんだ。」 ボクは、ただその変人の話を聞くしかなかった。 クレイジーという名の変人・・・ 彼をこれからどう見ていけばいいのか・・・ 戻る