お兄様は元ヒーロー 第3話 ミスターパープル・トマトの脅威

〜MAIN CAST〜 シェリー・ミルトス=主人公。故オービスの妹。 オービス・ミルトス=ストライプマン。事件の解決中に爆死。 ヴィシュトルフスキー・アトルズム=故オービスのトレーナー。 ルービーズ・ラファエロ=シェリーの同級生。 オリヴィア・ラファエロ=ルービーズの祖母。予知能力のようなものを持つ。 ジョン・スポール=政界・財閥組織『陰の鎖』の頭。 +ストライプスーツ+ 並みの訓練を受けていれば、 驚異的なパワーを発現させる。 政界・財閥組織『陰の鎖』が莫大な費用を 費やして作成したスーツ。 今は、ヴィシュトフが盗み、 彼の手元にある。 着た人物の気分により、色が変わる。 「疲れた・・・マスター」 汗をかき息を切らせるあたし。 「休憩だ。」 やっと休憩をもらえた。 「あと、2日しかないんだ。爆弾の発射まで」 「それじゃ私がつよくなるまで時間がないじゃん!」 「いや、大丈夫。ストライプスーツを着れば、 デコピンでビル一個ぶっ壊せるからね。」 「ヘコーッ!!」 びっくりだ。 「なら、トレーニングしなくてもいいじゃん!」 「なんで、それを着せてトレーニングしてるかわかるか?」 「わからないよ!」 「セクシーだからさ」 ・・・・・・ ≡)´з゜)=★アキ゛ャー! 「あぁ、びっくりした。 ちょっと殴っただけで とんでっちゃったわ・・・」 マスターは走って帰ってきた。 「あー、痛かった。」 「で、なんでコレを着ながらやるといいの?」 「それを着ると、力をあげるのではなく、 力を安全に引き出せるようにするのさ」 「へぇー」 「それは、日本の番組で押せ。」 「え?なんのこと?」 「まぁ、あれだ。それを着てr・・・」 マスターが喋り終えないうちに、 パトカーの音のようなブザーがなった。 「敵だ!ストライプガール、出動だ!」 「え?まじっすかぁ?」 久々の地上に出てきた。 といっても、1日半ぶり。 町の方が騒がしい。 キャー、逃げろーとか騒いでるんだろ多分。 あたしが、町に着くと、なんだか気色の悪い 異星人をみた。 紫色の丸型の肩当、胴、腰も丸っぽいもので 覆われていた。 というか、体全体に丸いものがいくつもついていた。 擬態語でいうなら、モコモコってやつか。 手は、とがっている。 足もつま先に行けば行くほど鋭くなっている。 顔は、紫色の龍の仮面を被っていて見えない。 あたしは、恥かしいのでスーツの面を 被ってそいつの前に躍り出た。 「やいやいやいやい!そこのモコモコドラゴン!」 「む?なんだ、俺はミスターパープル・トマトだ!」 「いや、ドラゴンってつかない分カッコわりぃ・・・」 「貴様こそ・・・って、貴様は、ストライプマン!」 「ぶ〜っ、残念でした。ストライプガールだよ」 その言葉が横から聞こえた時には、パープルトマトは吹っ飛んでいた。 「速い・・・流石、ストライプま…ぃや、ストライプガール!」 パープルトマトは、空中で体勢を整えた。 反撃の合図の変わりに、体中についていた紫色のボールを ひとつ、はがした。 それを投げ飛ばす構えのところで、 パープルトマトは攻撃することができなかった。 ボールを投げようとした右腕を、ストライプガールにつかまれていた。 「私が推測するに、それは小型の爆弾ってとこかしら?」 「な…なに?」 腹に膝蹴りを喰らって、上に飛ばされたパープルトマト。 「フッ、残念だったな、俺を遠くに飛ばすなど…」 上空に飛んだパープルトマトは、 さっきのボールを再度投げようとした。 しかし、ボールはすでに右手の中にはなかった。 「なにぃ!パープルボムがない!他のを剥がすか!」 空中で体からボールをとり、もう一度投げようとした。 「くらぇぇぇぃい!」 投げられたボールは上空から ストライプガールめがけて急降下してきた。 「相殺できる!」 ストライプガールは、先ほど盗んでおいたボールを 上空のボールに投げ飛ばした。 見事にぶつかってふたつのボールは爆裂した。 「ぐぉぉお!」 パープルトマトはどこかに飛ばされたらしく、いなくなっていた。 「見失ったわ…」 しかし、追う必要もなかった。 爆弾を使って闘ったんだ、 体のいたるところに火傷があるに違いない。 それを探せばいい。 一方、パープルトマトは、なんとか『陰の鎖』が 経営する子会社の病院についていた。 「この格好じゃだめだ…ここでパープルスーツは脱ぎ捨てる…」 病院の裏庭で、こっそりと着替えたパープルトマト。 その顔は、火傷の傷で頬から少し血が出ていた。 それから、焦げてもいた。 「ちっ、これじゃぁ、この顔も台無しじゃないか… あの女、やりやがって…」 そういうと、病院の裏の入り口から入った。 「あ、お客様、裏からのご入場は…」 ナースに呼び止められて、彼は戸惑ったが、 ポケットから『陰の鎖』が発行した身分証明カードを見せ付けると、 ナースは、謝りながら、ついてきてくださいと 手を進行方向に向けた。 「別に謝ることもなかったのに」 「いえ、でも…」 「新入りのナースでしょ? それじゃ知らなくても仕方ないよ。」 「2年前からここにいます」 「おっと、失礼。 それなら俺の方が新入りだよな。 俺が『陰の鎖』に入ったのは、 半年前だ。 どおりで知らないわけだ」 「はい、あなたの病室に着きました。」 「ありがとう」 彼は、病室に入ってベッドに寝転がった。 「すぐに先生達もお呼びします」 「焦って転ぶんじゃないぞ〜」 「…」 ナースは、ムスっとした顔で病室を出て行った。 ナースの言ったとおり、 先生達はすぐに来た。 「えーっと、あなたはパープルスーツの方ですよね」 「そうだ」 男の先生が3人とさっきのナースが並んでいる。 「体中に火傷がありますが、 どれも小さいので手術もしなくていいでしょう」 「ったりまえだぁ、 俺は、天下のパープルトマト様だ」 「そういう過剰が今日のような 敗因につながるのですよ」 「な…敗因だと? てめぇも見てやがったのか?!」 「いえ、いつものことですし、 ライバルのストライプマンと 喧嘩でもしてたのでしょう。」 ひとりの先生がそういうと、 彼は窓の外を見て低い声で話した。 「奴は死んだよ。 向こうの町に、工場があるだろ? あそこに暴漢が入ってさ、 いつもどおり、俺は暴漢達を 叩きのめしていた。 俺が危なくなったところで、 ストライプマンが助けに入ったんだ。 俺だけを先に逃がし、 俺の体からあらかじめ盗っておいた パープルボム数個を、暴漢に投げつけて、 自分は逃げようとしたんだろうが、 爆発に巻き込まれて死んだ。 しかし、後々調べてみると その死骸もストライプスーツも 見つからなかったそうだ。」 「なら、生きているのでは?」 「いや、生きていないさ。 彼の代理みたいのが出てきたんだ。 俺がまた事件解決をしている時にだ。 ということは彼は死んでいる、 またはストライプマンとしては 生きてはいけなくなったんじゃないか?」 「代理?」 「ストライプガールだ。 あの女、ストライプマンと互角の力を 持っていた。 そういや結局、ストライプマンの招待も 暴けなかったけど。」 「ストライプガールはあなたに何をしたのですか?」 「妨害さ。 奴らしくない。 おかげで暴漢を逃がしちまった。」 「ん?そうか…」 先生の一人が、時間ですと言う感じで、 腕時計を指すと彼にお大事にと言って出て行った。 ナースは、ひとり病室に残った。 お前は行かないのかと言わんばかりの眼で 見つめた。 「私は、病室管理の担当だから。」 ナースは、そう言ってベッドの横の椅子に 彼には背中向きに座った。 すこし沈黙がつづいたあと、 ナースが最初に喋った。 「あなた、おなまえは?」 「ルービーズ・ラファエロ。」 「私は、ミトッシュ・ハーヴル」 「はい、ミトッシュさんね。」 「あなた、家に家族はいるの?」 その敬語の混じってない言葉は、 病室に案内された時に転ぶなと言ったことが しゃくにふれたのか、それとも 運良く対等な立場になれたのかとでも思わせた。 「祖母と二人暮しさ。」 「なんだか寂しいのね。」 「あぁ、そうだ、最近は寂しいことばかりさ」 「ストライプマンのことね」 「いや、そんだけじゃねぇ。 俺の女友達の兄貴が死んじまってよ、 なんでも、工場の事件の時、 人質の中にいて、爆発に巻き込まれらしい」 ミトッシュは、少しはルービーズのことが理解できた と思い、ルービーズの方を向いた。 「ルービーズさん、彼女とかいるの?」 「いないけど・・・」 「どんな女の子が好き?」 「なんでいきなり・・・」 「私ね、大学を卒業する前にここに入ったの。 だからまだ21歳よ。」 「俺は、高校2年だよ。」 ふたりはお互いのことについていろいろ語り合った。 少しして、ルービーズの携帯電話に電話がかかってきた。 「もしもし?」 「ルービーズ、次の任務を与える。 おまえも喜びそうな大きな仕事だ。」 「え?なんですか?」 「上司たちからも聞いていた、 例のコンテナだ」 「あ、あのコンテナですね」 「それを明日の23時までに、 ある場所に持っていって欲しいんだ その場所の地図は、 データにして郵便で家に届ける。」 「はい。あ、コンテナの話は聞いているんですが、 中身はなんですか?」 「それはおまえは知らなくてもいいことだ」 「どうしてです?」 「やたらに首をつっこみすぎると 首が抜けなくなって窒息死するぞって意味だ。」 「あの…」フ゛ツッツーツー 「切られた…」 「ルービーズ、任務?」 「ああ、だから一回家に帰ってもいいかな?」 「怪我は完治してませんが、 動けないほどでもないのでいいですよ。 あと、無理しないでくださいね。 パープルトマトっていっても、 たかが防弾チョッキを着た人間と同じなんですから」 「ああ、わかったよ」 ルービーズは、ベッドから起き上がり、 靴を履いて病室の外に出た。 そして病院の表口から帰路についた。 戻る