-新しい言い訳?- -信じてくれないかもしれないけど、俺ヒーローなの- あのとき、兄にガンバレとでも言ってあげればよかったのか… -それがあたしの兄?- -いえ、違います- 未だ兄の死を受け入れられない… -兄がここに来ていたか聞きたかったんです- -兄というと?- そのとき、闘うことが兄への餞だと悟った。 「あんたを雇ったのは誰なの?」 「ヴィシュトルフスキー・アトルズム」 裏切られたりもした。 「私の名前はシェリー・ミルトス。 今から私を裏切った奴を倒しに行く。 それから、兄が死んだ事件の真相を聞き出す。 返答によっては、血を見ることになるのかもしれない。」
お兄様は元ヒーロー 第5話血の滅入り
「ジョン、このトラックは、 すぐ、目的地につくのか?」 「安心しな。大丈夫さ、 核爆弾の時間までには間に合わせてみせる」 コンテナを運ぶトラックの中で、 ジョン・スポールと、ルービーズが話している。 バイクで後を着けているシェリーには気づいていない。 もちろん、トラックの中での会話も聞こえていない。 何時間後かして、大きく、そして高いビルに到着した。 「カーマが言っていたように、私は彼を止めなければならない!」 トラックがビルの地下倉庫に入っていった。 途中でシャッターを閉められ、 バイクを止めなければならなくなった。 バイクを止め、先に屋上に向かおうとエレベーターに向かった。 しかし、それは故障していて使えない。 「まさか、もう上にもう一人?」 しょうがないので、階段から行くことにした。 近くの非常階段を上り始めた。 「ここで力を使って、上に登ってもいいが、 いざというときのためにね。」 自分に言い聞かせながら、階段を走っていった。 半分ほど上ったかと思った時、 したから鎖のようなものが飛んできた。 屋上まですごいスピードで上がっていく。 その鎖の先端が、屋上についた時、 下から人影がふたつものすごい勢いで上ってくる。 鎖に引っ張られるように。 よく見たら、引っ張られているのは人間ではなく、 コンテナだった。 その上に二人の人間が立っている。 片方は知っている顔だ。 ミスターパープル・トマト。 本当に彼は、ルービーズなのか? もう一人は、カウボーイのような帽子に、 マントを羽織った男。 コンテナが目の前を上へと通過するのを見て、 非常階段から飛び移った。 コンテナの底面に張り付くことができた。 これならあの二人から見られない。 コンテナが屋上に着くとシェリーは屋上から 1つしたのフロアに降りた。 屋上の入り口の前で、彼らを盗み見していた。 人数が増えていた。さっきまで2人だったのが、 3人になっている。 1人は、ミサイルのようなものを持っている。 おそらく、あれが核爆弾だろう。 あとの二人は、パープルトマトとマントの男。 そのもう一人が核爆弾を持った奴に近づいていく。 すると、そいつは、核爆弾を置いた。 「どうでしょう?取引は?」 聞いたことのある声だった。 それはまさしく、オービスとシェリーの共通の師である、 ヴィシュトルフスキーの声だった。 「取引?そんなことに応じる俺たちではない」 「どうなろうと、お前はその核爆弾をこっから落とす気だろ?」 パープルともう一人が答える。 「ふっふっふ、そこまで我にたてつくか!よかろう!」 そのとき、ヴィシュトルフスキーらしき人物が消えた。 それと同時にパープルが吹っ飛んだ。 そのまま屋上から落っこちるぎりぎりのところで、 さっき見たのと同じような鎖がパープルをつかんだ。 鎖が束になり、大きな手を作り、それがパープルをつかんだ。 「貴様の能力は、コードネームと同じく、シェイドチェーンだったな」 ヴィシュトルフスキーらしき人物がマントの男、シェイドチェーンに近づいていく。 「俺の能力の射程距離は短い。 が、近づけば近づくほど攻撃力も増す。」 「来るんじゃねぇ!近づくと貴様を鎖で引き裂くぞ!」 「残念だが、貴様の鎖は今、全てをパープルトマトを支えることに 使ってしまっているんだ。 それは貴様が一番知ってることじゃないのか?え?」 「ジョン、ぃや、シェイドチェーン、俺を放せ!」 パープルが叫んだ。 「どうだ?そこの若造を落とすのか?それとも貴様もろとも一緒に堕ちるのか?」 「…」 シェイドチェーンは、ヴィシュトルフスキーらしき人物に背を向けた。 「シェイドチェーン、俺は今日死ぬが、 こっから地面に落ちて死んだりはしない。 俺の祖母が言っていたんだ。 いつものボケかと思ったが、今回のは違う。 なぜならば彼女は祖母じゃなかった!」 その言葉でシェリーはミスターパープル・トマトは ルービーズだとわかった。 「そのまま落ちろ!」 ヴィシュトルフスキーらしき人物がまた消えた。 そして、その瞬間、シェリーは自分の体を投げ出していた。 体がぶつかって、ガードしたとき、一瞬顔が見えてそいつを確認した。 やはりヴィシュトルフスキーだった。 「なんだ…君…」 シェイドチェーンが驚いて言う。 「私の名前はストライプガール。」 ヴィシュトルフスキーに飛び掛り、 殴ったが、ガードされた。 しかし、その威力はヴィシュトルフスキーを 吹き飛ばすほどだった。 「ヴィシュトルフスキー、あんた、いつからそんなに偉くなったんだ?」 「シェリー…か…」 「あんたがそのミサイルを渡してくれた上で、私があんたを倒せば気が晴れるんだ。 私の犠牲になってもらうわ。」 パープルはすでに屋上に上げられていた。 「ストライプガール…あんたはシェリー・ミルトスだな?」 パープルが聞いた。 「そうよ。ルービーズ。」 「俺のことも知ってたのか。」 「あのミサイルが核爆弾ってのはわかったよ。 ところであんた達が持ってきたあのコンテナは?」 「核融合分解補助装置が中にある。 見つけた核爆弾をその場でただの鉄の筒に出来る。」 「なるほど。」 ヴィシュトルフスキーがシェイドチェーンに攻撃をしかけてきた。 「遅い!」 シェイドチェーンは瞬時に鎖を束ねて盾を作っていた。 ヴィシュトルフスキーは自分がタックルした反動で体勢を崩した。 そこへシェリーの追い討ちがかかった。 しかし、シェリーの攻撃は空を切った。 「どうした?俺はここだーッ!」 ヴィシュトルフスキーはすでに、シェリーの背後にいた。 そして大きな一撃を与えた。 「うッ…」 その一撃でシェリーは倒れた。 うつぶせのまま動けなくなった。 (普通のパンチだ… でも…なんだ… 動けない… 謎を…解くんだ… そのためには…ヴィシュトルフスキーに …指一本でも触れなければ…) 「所詮、貴様はその程度なのだ!」 ヴィシュトルフスキーは次にシェイドチェーンを狙っている。 「シェイドチェーン、貴様は『陰の鎖』のヘッドらしいが… それも今は関係ない! この核爆弾のまえに人々は平伏すしかないのさ!」 「うおぉ」 パープルは体の小型爆弾を2つはがして両手に持った。 「パープルトマト、やめるんだ、 今やったらあの核爆弾も一緒にドカンだ」 シェイドチェーンがパープルを止めた。 「今は俺に任せろ」 シェイドチェーンが前に出た。 (だめだ… 今ヴィシュトルフスキーと 目の前から闘っても勝てない…) シェリーはそう言おうとした。 自分では言ったと思ったが声は出ていなかった。 (なんだ… 声が出ない? いったい奴の能力は…) シェイドチェーンの影から、 鎖が出てきた。 「それがお前の能力、 影、または陰から鎖を作り出し、 自分の手足のように動かせる。 それはもう知っている。」 「知られていたとしても、お前は俺が倒さなければならない」 シェイドチェーンの鎖が束になり鍵爪のような形になり それがヴィシュトルフスキーを攻撃した。 しかし、その攻撃も当たらなかった。 ヴィシュトルフスキーは一瞬消えたように見えたが 元の場所に戻っている。 「一度よけたからって…ウッ…」 シェイドチェーンが2度目の攻撃をしようとしたが、 動けなくなってしまった。 そしてシェリーの方を向いて口をパクパクさせている。 (どうやら… シェイドチェーンも奴の 能力を受けて、動けなくなったらしい) シェリーはそう思いながら、 シェイドチェーンの口を読んだ。 (ヤ・ツ・ノ ノ・ウ・リ・ョ・ク・ハ ス・ベ・テ・ノ・キ・ノ・ウ・ヲ テ・イ・シ・サ・セ・ル) (奴の能力は全ての機能を停止させる? もう打つ手無ってことなのか?) ヴィシュトルフスキーがシェリーに近寄ってくる。 「最後だから教えてやる。 お前の兄を殺したのは俺だ。」 (なんだって…) 「俺はあの工場の事件に 犯人側についてたんだ。 それをあいつに邪魔された。 ミスターパープル・トマト? 貴様もあの場所にいたなぁ」 「シェリーの兄? なんの話だ?」 「おっとー、失礼したな、 お前は知らなかったのか。 こいつの兄はストライプマンだってこと」 「なに?」 「貴様と協力して俺を倒しにかかったが、 貴様からパープルボムを受け取って 俺を倒そうとしたが、俺は能力を使って 奴の機能を止めた。 そして、貴様の武器、 パープルボムはぶつかって爆発しないときは、 時間で爆発するんだよな? それを両手に持ったまま動けなくなったら…」 「…」 パープルは自分がストライプマンを 殺していたとショックを受けた。 「貴様は能力無しで倒す!」 すごい勢いでヴィシュトルフスキーが パープルにタックルした。 そのときの勢いでヴィシュトルフスキーの ポケットから何かが落ちた。 円形だったからか、それは シェリーのほうに転がってきた。 それは硬いようにも見えた、 やわらかいようにも見えた。 シェリーの目の前にそれが来ると、 フニャリと力をなくしたように 雪崩れた。 その輪っかには見覚えがあった。 パープルが屋上から落とされかけた時、 シェリーには時間がゆっくりになっていくのを感じた。 そして、うっすらと亡霊のような何かが現れた。 「誰?」 いつのまにかシェリーに声が戻っていた。 その時は、ヴィシュトルフスキーも パープルもシェイドチェーンもその声には気づいていなかった。 「久しぶりだな、俺が死んでからそんなに 日にちたってないけど」 「お兄ちゃん?」 「そうだ。 俺の体は死んだが、魂は現世にとどまることが出来た。 天国と地獄のどちらに行くにも ふさわしくないって言われてな。 それで、体の変わりにそのブレスレッドに憑依していた」 「どういうこと?」 「説明は後にして、 この浮遊空時間内にパープルトマトを 助けないとダメだぞ。」 シェリーはそのゆっくりに動いてく時間の中で 自分だけが普通に動けるのを不思議に思った。 立ち上がり、ブレスレッドを腕に着けた。 そして屋上から落ちかけているパープルの 腕を力いっぱい引っ張り上げた。 その瞬間、ゆっくりだった時間が元に戻った。 ヴィシュトルフスキーがバランスを崩して転んだ。 「なんだ?どうしたんだ? パープルトマトが何故俺の前にいないんだ!」 「わかったわ…あなたの能力… 魂で理解した… その能力は一定時間しか使えない。 つまり、殴った敵を何秒かしか止められない。 あなたの謎は紐解けた。」 「本当だ…」 シェイドチェーンが動けるようになり、 シェリーの推理に感動したかのように言った。 「そして、もう一人ここにくる。 それがもし能力をもつ者なら あなたは4対1で闘うことになるかもしれない。」 「なぁにぃ!」 そのとき、屋上の入り口からひとりのナースが 出てきた。 「これは…どういうこと?」 「ハーヴル、どうしてここに!」 「このビルで音がするから来てみたのよ。 ここは夜には誰もいなくなってるはずなのに。」 ヴィシュトルフスキーが姿を消し、ハーヴルのところに 現れた。 「能力を使われる前に貴様の動きを止める!」 ハーヴルを殴ろうとしたヴィシュトルフスキーの前に パープルが飛び込んだ。 ハーヴルの替わりにパープルが殴られて動かなくなった。 「ぐぁっ…シェリー、彼女を守ってく…」 最後まで言い終わらないうちに声が機能を停止した。 「ヴィシュトルフスキー!」 その声がする方向に振り向くが、 そきにシェリーはいなかった。 すぐ目の前まできていた。 そして、腹にパンチをくらった。 とっさに後ろに引いたが 完璧にはよけきれなかった。 「ブフッ!!」 ヴィシュトルフスキーの腹に穴が開いた。 ヴィシュトルフスキーは吐血し、 その場に倒れこんだ。 「ど…どうしたんだ… この…俺が… 攻撃は完璧には決まらなかったはず… なんだ…この…痛みは…」 腹からも大量に血が出てくる。 「グハァッ!! お…俺は… こんな奴に…負けたのかぁー!!」 苦しみもがいているヴィシュトルフスキーの 前にシェリーがやってきた。 「正直、驚いたよ。 あんたはとっさに後ろに飛びのいたが、 こんなになるなんて。 でもこれもこのブレスレッドのおかげかもしれない。」 「貴様…それを…いつの間に〜!」 ヴィシュトルフスキーの体が震えていた。 「こ…こんなことで… 俺の…血が…減っていく…のは…」 「あんた、今まで自分の血を見てなかったのか?」 「あたりまえだ… 俺は…神になるべき…」 そのまま動かなくなった。 (なんだ?これは… 動けないし声もでない…) 「それがあんたの能力。 このブレスレッドを持っていたあなたから 吸い取られたのかもね。 今は痛みと苦しみ以外の何もない。 そのまま死ぬことも許されない。」 (うぐッ…お… ぅおお…) そのもがき苦しむ生きている死体だけを 見捨ててビルを後にした。 戻る