第10話「空港脱出A」 ミハエル、フィスナ、そしてノーウェンは難なく空港を脱出。 運転席には女が乗っている。 「みんなトイレとか大丈夫?」 運転席の女が言った。 「あ、はい。あのー」 「名前?私はオリヴィア・ラファエロ。 チームはアレックスという男が率いるチームフレア。」 フィスナが聞こうとしたこと、名前― それを先に言われたことに奇妙な点を覚えた。 「ちょっと聞きたいんですけど」 「私のコードネームはカーマ。 能力は先の運命を見ることができるのと、 姿を変えられること。 コードネームはラテン語の運命、カルマと カーマカメレオンって歌があるでしょ? 私はカメレオンみたいに透明になることもできる。」 フィスナはやっぱり、と頷いていた。 ちなみにカーマカメレオンとはラテン語の意味では 『カーマは気まぐれ』カーマという女の人と運命をかけている。 一方、ショーン、シェリー、山南たちは・・・ シェリーが車を調べている。 ショーンと山南はその様子を見ている。 「特に異常は見当たらな・・・」 車の後ろ側に回ったとき、顔に激痛を感じた。 後ろに仰け反るシェリー。 「くぁっ・・・」 頬を押さえながら体勢を立て直した。 「あ、ご、ごめんなさぁい、男の人だと思って・・・」 手に棒状の黄色い発光体を握る少女がそう言った。 少女はその制服姿から、学生だと推測される。 「えっと、本当にスイマセン、 女の人の顔を殴っちゃうなんて・・・」 シェリーはその少女を見つめていた。 「あ、あなたシェリーさんですよね?」 「・・・YESと言ったら・・・?」 「えっと、手合わせ願おうか・・・です。」 そう言って棒状の発光体をシェリーに向ける少女。 「私、アメリア・ホール・シマムラって言います。 えーっと、アメリカ人と日本人のハーフです。」 言い終わると、棒状の発光体を振り回し、構えをとる。 「シェリーさん、構えてください!! 私の鞭々棒で相手してやるです!!」 シェリーの構える間も与えず、突進するアメリア。 「構えろって・・・言ったじゃないか」 瞬間、アメリアにはシェリーが消えたように見えた。 シェリーは空中にいた。 車を飛び越し、その横に着地した。 その光景を見ていたショーンと山南はシェリーの方に走っていく。 と、目の前にチャラチャラした風貌の・・・ 俗に言うヤンキーという奴が現れた。 「へーい、待ちな。先へは行かせないぜ。 もっとも、先へは生かしもしないけどな。」 「つまらねぇ」 即座に敵と判断したショーンはそのヤンキーに飛び蹴りをかました。 ケンカ慣れしているのか、ヤンキーはショーンの飛び蹴りをひらりとかわした。 着地してすぐに反対の足で足払いをするショーン。 ヤンキーは背後を取られていたが、焦ることなく、 後ろ向きで腕を振った。 「ぐぁっ・・・」 何が起きたのか・・・ ショーンの足に激痛が走った。 服をまくってみると、半径5ミリ大のアザが 点々と5つほどあった。 「何が起きたのか見えもしなかっただろう。 死にたくなかったらそこの女を置いて逃げな。」 ヤンキーは山南を指差して言った。 「ショーン、ここは任せて」 山南はテレパシーでショーンにそう伝えた。 「・・・」 ショーンは何も返答しなかった。 再び立ち上がり、ヤンキーの前に立ちはだかり、 「おまえは俺の学校の留学生、ウォレット・ベリルールだよな・・・」 問う。 「・・・いかにも」 ヤンキー、ウォレットはそう答えた。 「あー、どうりで見た顔だ・・・」 山南が指を鳴らして言った。 「結構、喋れるじゃん、ってことは喋れないってのは嘘なんだな」 「まぁ確かにな。 努力なくして向上なし、日本語にはこんな言葉がある。」 「・・・ぃや、他の国でもあるだろ。 ちょっとニュアンスが違うだけで。」 ウォレットとショーンは、同じ学校の生徒であるからか、 親しみを持つように話している。 「で?フェレットくん?」 山南はウォレットに近づき、誘うような声で言った。 「ウォレットだ。間違えるな。 フェレットでも財布でもなんでもない。」 「うん、面白い。 座布団一枚。って知ってる?」 山南は手をウォレットに向けた。 「ワイルダーンエレクト!!」 唱えると、ウォレットが頭を抱え込んだ。 「ぐ・・・なん・・・だ? 頭痛がす・・・る」 山南は手をウォレットに向けたまま、 ショーンに合図した。 「トネールプリュールル!!」 ショーンは手から雷を放射した。 「ぐわぁぁあ!!」 ウォレットは倒れこんだ。 ショーンはそれに近づき、 「とどめだ。」 倒れたウォレットに手を向けた。 「かかったなぁー!!」 「何!?」 「離れて!!ショーン!!」 ショーンはとっさに身を引いたが 何かにあたり、吹っ飛ばされた。 「腹が・・・いてぇ・・・」 「噂は聞いてた。 敵組織に雷使いがいるって・・・ で、この耐電スーツを着てるってわけ。アンダスタン?」 ウォレットが上着を開いて見せながら言った。 その状態のまま、手を細かく振った。 「ぐぁっ・・・ぅ」 何かがショーンの体を周囲から攻撃する。 ショーンの体に当たった何かはウォレットの方にすばやく戻っていく。 それを全て手でキャッチするウォレット。 「ショーン!?大丈夫!?」 山南は、ショーンに近づこうとした。 銃で撃たれたかのように山南の足元の地面が弾けとんだ。 「動くんじゃない・・・ 彼を助けるのはやめた方がいい。」 「じゃあ、ウォレット、私が相手になるわ。」 山南はショーンの前に立った。 「だーかーらー、 そいつを助けるのはもういいだろう・・・なぁ? そんな奴等といないでよぉ、俺達と来いよ、なぁ?」 ウォレットは山南を誘っている。 「山南さん、俺の前に立たないでくれ」 ショーンが言いながら立ち上がった。 「大丈夫よ。 あなたに心配かけるほど軟じゃないから。」 「そうじゃなくてぇ、そこにいられると、 雷撃てないんですけど。」 山南はショーンを見て微笑んだ。 そしてそのままウォレットの方へ向き直り、 「ワイルダーンエレクト!!」 言った。 もどる