第11話「空港脱出B」 ワイルダーンエレクト、山南はそう言うと、 ウォレットは頭を抱え込み、倒れた。 「ぅおあ・・・ 頭痛がする・・・」 ウォレットは再び平静を取り戻し、立ち上がる。 「テレパシー使いちゃんかい・・・」 「あたり」 ウォレットはニヤリと微笑み、 山南に背を向けて走り出した。 「あ、こら、逃げるな」 追う山南。 「山南さんも追っちゃだめだって!!」 ショーンが山南の肩を掴んだ。 「え・・・」 「俺たちの目的は、この空港から脱出すること、 そうじゃなかったのか?」 「そうね・・・」 二人はシェリーが戦っている場所へ駆け出した。 「シェリーさん!!」 ショーンがアメリアにドロップキック。 しかしアメリアは、ハエを手で払うかのように、 ベンベン棒でショーンを払いのけた。 「あぃってぇー!!」 車のボンネットの上に叩き落された。 「バカ、むやみに飛び込むから!!」 山南がショーンを抱えて起こした。 「バカって言うやつがバカなんだぞ!!」 「今はどうでもいいでしょ!! シェリーさんを助けなきゃ!!」 シェリーはアメリアとの戦いを続けていた。 「マジックストライプ!!」 シェリーは車の横に来てそう言った。 アメリアはシェリーに突進してくる。 が、しまっていた車の扉が急に開き、 アメリアにぶつかり、バランスを崩した。 「シェリーさんどいて!!」 ショーンはそう言うと、 アメリアに向かって雷を放出した。 アメリアはそれをベンベン棒でガードした。 「同じエネルギー体の武器なら、 貫通はできないんで?」 アメリアはショーンの目の前に飛び込んだ。 ショーンは腕でベンベン棒をガードする。 「ぐぁっ・・・」 「ガードしちゃったの・・・ 痛いでしょー?」 山南がアメリアの額に手を触れようとした。 「何やってんの!?」 アメリアはびっくりして仰け反る。 「私、そういう趣味はないわよ!?」 「いや、違うって、あの・・・」 言いかけたとき、 マシンガンか何かで撃たれたかのように、 地面が弾けていった。 「みんな、車の陰に!!」 シェリーが言うと、ショーン、山南は 車の陰に隠れた。 もちろんシェリーも隠れた。 「なんだ?」 ショーンはアメリアの方を見ていた。 アメリアはどこかに走っていった。 「アメリア!!来い!!」 建物の非常階段の一番上に人影があった。 声がしたのはそこからだった。 「テレパシーの奴、 おまえはこの距離でもさっきの技が使えるかな!?」 その声は、ウォレットの声だった。 山南は舌打ちした。 「逃げたんじゃなかったのか。」 ショーンは言った。 少し不安にもなったが すぐに作戦を考えた。 「ホラー、隠れてちゃ俺が倒せないぞー、 もっとも、出てくれば俺にやられるけど」 ウォレットは叫んでいる。 ショーンは車の後ろから出て、ウォレットの位置を確認した。 が、すぐに銃弾のような何かが飛んでくる。 ズボッと音が鳴り、 それは地面に食い込んだ。 「しまった!!」 「あらかじめ私の マジックストライプで地面の鍵を 開けておいたのさ。」 シェリーは大声で、 ウォレットに聞こえるような声で 言った。 ショーンはすばやく、地面に食い込んだものを取り上げた。 「熱っ!!」 それは、熱を帯びていた。 ただのパチンコ球だった。 「シェリーさん、このパチンコ球、 なんですかねぇ?」 ショーンは聞いた。 「・・・なるほどね。」 「一人で納得しないでください」 シェリーはニヤリと微笑した。 ショーンはそんなシェリーにあきれていた。 「このパチンコ球を飛ばしていたのさ、 指弾として。」 「指弾?」 山南が聞き返す。 「人差し指でこんな感じで皿を作り、 そこに弾丸になる物を乗せる。 そして親指の圧力でそれを飛ばす。 だがあいつの指弾は特別だ。 他の指でも同時にできる。」 シェリーが説明を終えると、 「じゃあ弾切れになるのを待てばいいんじゃない?」 ショーンが反論した。 「弾切れはないよ。 それが奴の能力。 最初はすばやくて見えなかったけど、 私の周囲をスローにする能力、 クリムゾンサンセットでそれを見た。 一度飛ばされた弾丸は、ブーメランのように手元に 戻って行ってるんだよ。」 「なら・・・簡単だ」 ショーンは車の陰から飛び出た。 「あ、バカ!!」 山南もそれを追う。 「二人とも何やってんの!!」 シェリーは車のトランクの蓋を マジックストライプで外した。 そして二人を追いかけ 「クリムゾンサンセット!!」 シェリー以外の動きがスローモーションになる。 二人をまとめ、抱え、トランクの蓋でパチンコ球をガードする。 パチンコ球は未だスローのまま。 「くっ・・・これが限界か」 シェリーが5秒数えた時点で時間は元に戻った。 何発ものパチンコ球がトランクの蓋にぶちあたっていった。 何発も受けていたので、最終的には貫通しそうになった。 「これだ!!つかえる!!」 「何が?」 ショーンはトランクの蓋をつかみ、 「磁石を作るんすよ、 トネールプリュールル!!」 トランクの蓋に電気を流し込むショーン。 すると一瞬でパチンコ球がショーンの方に飛んでくる。 「危ない!!」 山南に言われた瞬間、 ショーンはトランクの蓋を投げ飛ばした。 ショーンに当たりかけたパチンコ球はトランクの蓋目掛けて飛んでいった。 そして建物の上のほうに飛んでいき、 「うわー!!」 ウォレットの腹に当たった。 「ぐふ・・・ぁっ・・・」 ウォレットは吹っ飛び、非常階段の柵を越えていた。 「ウォレット!!」 落ちかけたところ、アメリアがすぐにベンベン棒を 伸ばしてウォレットをキャッチした。 そしてアメリアとウォレットはどこかに去っていった。 「やるじゃーん、ショーン!!」 「まぁーね。」 山南がショーンを褒める。 「ほら、早く車に乗って。 行くよ」 トランクの蓋が外れた車に乗って、三人は空港を脱出した。 もどる