第2話「ミハエル・アンダンテ」 ドイツ 現地時刻12:00 ウィーンの郊外の地下鉄から 秘密の入り口を行った先にある 地下街オーツァム そこは、浮浪者や、捨てられた子供達が 集まり、協力して生きている場所。 もちろん、地上界の人間は誰も知らない。 学のある者は、地上で勉強し、 技術や知識を地下の人々に伝えている。 その地下街で、現在、異変が起こり始めていた。 連続殺人鬼の出没。 子供達は殺され、大人たちでさえ逃げ惑い、 命を拾うものは少なかった。 地上界に助けを求めようとしても地下の人間は 地上界では受け入れられていなかった。 そんな中、10歳の誕生日を迎えたばかりの 少年がひとつの決意をする。 『連続殺人鬼は俺が倒す』 その少年こそ、ミハエル・アンダンテである。 ミハエルは殺人鬼を追跡するにあたって、 特殊部隊を編成した。 特殊部隊といっても、 いつものワル友達と組んだだけ。 いつしか、人はその子供部隊に 希望を託していた。 そして、ついに殺人鬼を捕まえた。 しかし、殺人鬼がつかまる前から、 それに便乗したかのように殺人事件が立て続けに おき始める。 ミハエルは言った。 「このバンダナ、外していい?」 その炭のように汚れた肌、 本来は白い肌なのだが、 地下で暮らしているあまり、 汚れるのは仕方なかったが、 それをカバーするために バンダナで格好をつけていた。 しかし、本当の理由は違う。 特殊部隊の仲間は言う。 キレた時に外す、 仲間がピンチの時外す、 外した時強くなる。 金髪の頭の中に、青い石が埋め込まれている。 それを制御するためにバンダナをつけていた。 バンダナを外すと、石の上に、 透き通るような水色の というか、水そのものが頭から角のように生えてくる。 ミハエルが腕に力を込めれば腕に、 足にこめれば足に、 その水を、鎧のように纏うことができる。 ある日、地上界から訪問者が現れた。 女と男、どちらも20そこそこといったところ。 女は茶髪、目は蒼く光っている。 そして服装は青黒い学生服にピンクのリボン。 男は黒髪、目は灰色を帯びている。 それがトラウマで濃いサングラスをかけている。 白いトレーナーのようなものを着ている。 どちらも異国の人間だと気づくまで時間はかからなかった。 「誰だ!」 オーツァムの入り口で門番が彼らをとめた。 「あなたに名乗る名はありません」 女がそう言ってドアに手をかけた。 男は無言でついていく。 「おい、こら!入るな!」 門番が斧を出して女に見せ付けた。 女は門番に向き直った。 「アンダンテという人を探しているのですが、 知りませんか?」 女は門番に歩み寄った。 「く・・・来るな、殺すぞ」 「人探しのためだけに来たんです。 なにも怪しい者ではありません」 「名を名乗れ!」 「名は名乗れませんが、 これだけ言っておきます」 女はすばやく前進、そして門番の耳に親指を突っ込んだ。 「な・・・なんのつもりだ」 「尋問です?」 女が親指を回すと同時に男の意識は無くなった。 「30番・・・ドアの・・向こうに・・アンダンテが・・・います」 無意識に門番は吐いた。 「30番ドアね。」 女が手を放すと門番は倒れた。 「ミハエル、いんちきしたろ!」 「してない・・・」 30番の個室でミハエルと友達がトランプで遊んでいた。 そのとき、いきなりドアが開いた。 「誰ですか、ノックもしないで!」 ミハエルが少し怒って言った。 「誰、わかったわ、あなたには名乗ってあげる。」 女が部屋に入ってきた。 「私の名前はシェリー・ミルトス。 で、こっちの男はノーウェン・バランクス。 他に質問は?」 その声に応じて男が部屋に入ってきた。 「あの、あなた達は何しにここへ?」 「ミハエル・アンダンテ、10歳、特殊部隊のリーダー、 私たちと同じく、Utiole(ユ・ティオール)の使い手、 彼を誘拐するために来た。」 ミハエル達は唖然とした。 皆、口を開けたままにしている。 「というわけで、ばいちゃ!」 シェリーは、ミハエルの友達を抱えて出て行った。 「おい、そいつぁミハエルじゃねぇぞ、 俺がミハエルだぞぉ」 ミハエルが力が抜けた感じでそう言うと、 ものすごい勢いでシェリーは帰ってきた。 「え、まぁこれは、リハーサルだ。」 シェリーはミハエルの友達をおろした。 「俺を誘拐、って、俺、家族がいないから身代金もでないよ」 「金が目的じゃないもん、 あんたのUtioleが目的だ。 力を貸して欲しい」 ミハエルはシェリーとノーウェンをまじまじと見つめた。 (ん~、シェリー・・・さん?は、 いい人そうだし、よくみると美人だし・・・ 着いて行っちゃおうかな) そんなことを考えながらシェリーを眺めた。 「シェリーさん、俺行くよ。」 「本当?」 シェリーは喜んだが、 ミハエルの友達は悲しんだ。 鼻の下が伸びてるぞ~って。 もどる