第39話「黄金の鍵」
ショーン達は、艦の中を駆けた。
もう一隻のガルムベルド船の時は、敵がわんさか出てきたが、
今回は一騎打ちのようだ。
未だに人っ子一人見ていない。
最下層の大広間に到着した。
やはり、誰もいない。
「おい、敵はどこだ・・・?」
ミハエルが言って、目の前のエレベーターに乗ろうとしたとき。
そのドアが開いた。
「目の前にて招待仕る。」
「!!」
エレベーターから、四人の男女が現れた。
ミハエルは、咄嗟に退いた。
「おまえは!!
北橋恭司!!」
恭司は、ショーン達に含み笑いした。
「久しいな。貴様等。」
「ああ。やっと会えたぜ・・・」
ショーンと恭司が睨み合っている。
「ショーン・・・気をつけて・・・あいつら、強い!!」
チームメタルタウンと、恭司と石原三姉妹は、対峙する。
双方の空間に威圧感が生まれた。
二階層の大広間にて。
「ダウンズゲート!!」
デーモニックが叫んで、周りの空間が薄暗くなった。
「なんだ・・・?」
レガロは、驚き、辺りを見回す。
さっき避けた球体が、目の前にある。
倒れていた仲間たちがいない。
デーモニックの姿が、見えない。
「く・・・そ・・・動けない・・・」
デーモニックが放った、デーモニックインフェルノが、刻々と、レガロに近づいていった。
「うぉ・・・ぉぉぉぉぉぉお!!!」
なんとか腕を上げて、ガードしたが、その球体が弾けると共に、レガロは、吹き飛ばされていた。
景色は、すでに元に戻っている。
仲間達もすぐ近くに倒れている。
デーモニックも目の前にいる。
だが、レガロのガードした両腕は、肉が引き裂かれ破壊されていた。
「ぐぁ・・・」
声を押し殺した。
「ダウンズゲートは、半径500m球内の空間を、十秒間だけ状況を変える。
俺の都合に合わせてな。」
デーモニックは、立ち上がろうとしているレガロに近づいていく。
「負けそうになっても、これを使って逆転というわけだ。」
レガロの前で、足を止めた。
「鍵はどこだ?」
レガロを見下ろし、静かに聞いた。
「さぁな。なんのことだかさっぱりだ。」
言った瞬間、顔面を蹴り飛ばされていた。
「そうか・・・」
次に、デーモニックは、床に倒れているシンドラーに近づいていった。
その頭を掴み上げた。
「おい・・・何をする気だ・・・」
デーモニックは、シンドラーを立たせると、目の前で睨んだ。
「鍵はどこだ?」
言っても、シンドラーの意識は朦朧としていて、答えることができない。
「あ・・・ぅ・・・ぅぐ・・・」
外に面した窓ガラスがゆっくりと開いた。
管理室のサロが操作して。
「そうか、わからないのか。」
窓ガラスが開ききると、デーモニックは、シンドラーの首根っこを掴んで、その方向に投げ飛ばした。
「シンドラーッ!!」
レガロは、立ち上がり、駆け出した。
シンドラーの身体は、床を転がり、開いた窓から落ちようとしていた。
ガルムベルド船は、まだ発進していないが、この高さから落ちたらひとたまりも無い。
レガロは、彼女を助けようと、走ったが、途中、デーモニックに蹴り飛ばされた。
「ぐはっ・・・」
シンドラーは、そのまま開いた窓から消えた。
「シンドラーッ!!」
「ふははははは!!おまえがさっさと鍵の場所を答えていればよかったのだよ!!」
「くっ・・・貴様ー!!」
「どれ、次はこっちの子供を落とすか。」
言いながら、ローナに近づいていくデーモニック。
レガロは、彼を睨んでいた。
恭司と対峙するショーン。
二人は、睨み合っていた。
「どうだ・・・ここいらで一騎打ちというのは。」
恭司が言った。
「酔狂な野郎だぜ・・・」
「丁度人数も四対四、お互いの死力を尽くそうではないか。」
「気に入らねぇ!!」
ショーンは、沙耶華の能力が弱体化していることを案じていた。
そのまま一騎打ちなんてしたら、沙耶華の生存は難しかった。
ショーンは、怒声を上げて、恭司に向かっていった。
「うぉぉぉぉお!!」
「来い!!ショーン・ワートル!!」
ショーンは、腕に雷を。
恭司は、腕に氷を。
二人は自分のユ・ティオールを纏って激突した。
「トネールプリュールル!!」
「空間ナイフ!!」
雷で、氷を溶かすが、氷のクリスタルによって乱反射される。
貫通はできないようだ。
石原三姉妹は、その戦いを呆然と見ていたが、我に返り、
ショーンに向かっていった。
「みんな!!こいつらを頼む!!」
ショーンが叫ぶと、三姉妹の前に、ミハエル、フィスナ、沙耶華が立ちはだかった。
「ふふふ・・・はははははは!!これだ!!この戦いだよ!!」
恭司は、叫んで右手に氷の剣を形成した。
ショーンも、同じく雷の剣を形成した。
「本当に奇怪な野郎だ。
もうおまえとは二度と会いたくない。」
「ああ!!願いは叶うさ!!
すぐになぁ!!」
恭司は、剣を振り下ろした。
ショーンは、それを剣でガードしたが、雷が乱反射し、弾き消された。
「くそっ!!」
「おまえの雷は光!!
光は氷の断面に反射されて無効化されちまうんだよ!!」
「ならば・・・最大出力でその氷ごと焼き切る!!」
ショーンは、目を瞑った。
そして、恭司が向かってくるのも構わず、両手に力を込めた。
「死ねぇぇぇぇぇぇぃ!!」
恭司が、剣を振った。
「光よ!!熱よ!!雷よ!!
一太刀の力をここに!!」
一瞬、光が辺りを包んだ。
「エクラッツレーム!!」
恭司の身体を、一太刀の光が、一閃した。
氷の刃は折れ、恭司の身体は中に浮いた。
「ば・・・馬鹿な・・・」
恭司の胴から、血が噴出した。
斜めに一閃された傷が、深く残った。
恭司は、倒れた。
ショーンの手から雷の刃は消え、ショーンは、その場に倒れた。
「ハァ・・・ハァ・・・やったー。」
一撃の疲労が半端なかった。
「お疲れ様」
沙耶華が言った。
「おう。そっちはどうだ?」
見ると、石原三姉妹がしゃがみこんだり、倒れたりしていた。
「戦意喪失って感じ。もうやる気はないみたい。」
「そうか。」
「実際の所、フィスナさんとミハエルが頑張ってくれたんだけどね。」
ショーンは、呼吸が整ってきた所で、再び立ち上がった。
「よし。じゃあ行きますか。」
「ちょっと待ってよ」
沙耶華は、止めた。
「休んでいかないの?」
「もう、時間がないんだ。」
「え?」
「なんだか分からないけど、そんな気がする。」
ショーンは、開いたエレベーターの中を見つめた。
「ここから先は・・・俺一人で行くよ。」
「ちょっと、ショーン!?」
ショーンは、沙耶華を突き放して、エレベーターに乗り込んだ。
扉はゆっくりと閉じていく。
残り数センチの隙間の時に、ショーンの口が動いた。
「―――だよ、沙耶華」
「え?」
エレベーターが閉まって、上階に上がっていく。
沙耶華は、すぐさまボタンを押したが、残念ながらエレベーターは戻ってくる気配を見せない。
突然の停電。
エレベーターも動かすことが出来ないだろう。
恐らく、ショーンはすでに上階に上がっていると思われる。
「ショーン!!」
沙耶華は、エレベーターの前に、突っ伏した。
「絶対・・・絶対、戻ってきて。」
デーモニックが、ローナの首根っこを持ち上げ、投げようとしたその時。
エレベーターが開いた。
そこにいたのは、ショーン・ワートル。
「何!?」
デーモニックは、驚いてローナの身体を下ろしていた。
「サロ・ヌーア!!
エレベーター部分の電力を停止させろ!!」
デーモニックが叫ぶと、エレベーター付近の蛍光灯まで消えた。
「デーモニック・アルベルン・・・みつけたぜ!!」
ショーンは、倒れているガルムベルド団の体を避け、デーモニックと対峙した。
「君が・・・ショーンか?」
意識が朦朧としながらも話しかけるレガロ。
「そうだ。」
「君になら・・・任せられる気がする・・・」
レガロは、上体を起した。
「鍵は、ルーシーが持っている。」
レガロは、倒れたルーシーを指して言った。
「使い方は・・・わかるな・・・。」
レガロは、そう言って意識を失った。
ショーンは、その倒れた体を見た。
ルーシーという女性の、背中に、金色の何かが見える。
「聞こえたぞ!!最後の一本!!」
デーモニックは、ニヤリと笑い、ルーシーの方向に駆け出していた。
「させるかぁ!!」
同じく、ショーンも走り出していた。
「ダウンズゲート!!」
デーモニックが叫ぶと、辺りが暗くなった。
「鍵は俺の元にあり!!」
そう叫び、両手を向かい合わせると、そこに鍵が出現した。
ルーシーの服の中にそれはもう見当たらない。
「取ったぞ!!」
デーモニックの右手には、金色の棒状の鍵が握られていた。
長さは約50cm。
景色が元に戻ると、ショーンは焦り、デーモニックを見ていた。
何か、策を練らないと勝てない。
真向勝負だと、飲み込まれてしまう。
「これはすごい!!力が!!
今なら神にでもなれる!!」
言いながら、デーモニックは、力を込めて鍵を取り込もうとした。
が、腕が動かなくなっていた。
「あ?なんだ・・・?何が起きて・・・」
見ると、足元から腕までが凍っていた。
見る見るうちに床から氷が侵食していき、デーモニックの体を包もうとしていた。
「何!?これは・・・!?」
「アイスィランド。」
ショーンは、振り返った。
そこには、ボロボロになりながらも立っているローナがいた。
恭司と同じく、氷の能力者。
「早く・・・鍵を取って・・・
限界ですよ・・・」
ローナの意識が薄れていき、それに比例してデーモニックに張り付いていた氷も消えていく。
「ふははは!!この力はいただいた!!」
「させねぇっ!!」
ショーンはデーモニックに突撃していった。
そして、再び「エクラッツレーム」を使った。
さっき使った分、出力は低下していたが、デーモニックの腕を切断するには充分だった。
「ぐぁぁぁぁぁあ!!」
肩先から腕が落ちるデーモニック。
そして、ショーンは宙に舞う鍵を握り締めた。
「これは・・・」
ショーンは、鍵から発せられる力に驚いていた。
「この力を・・・借ります。」
言って、握った鍵から力を吸い出すと、鍵の色素は落ちていき、最後は透明になって消えた。
先程までの疲労が嘘のように回復していく。
それだけじゃない。
今までに無い力を手に入れた。
そんな気分だった。
「腕・・・がぁぁぁ・・・」
嘆くデーモニック。
「ダウンズゲート!!」
叫び、自分に都合のよい状況を作り出す。
そう、腕を復元することもできたのだ。
「ふははは!!見ろ!!完・全・復・活だ!!」
「殺すには頭を破壊するしかないみたいだな・・・」
「行くぞ!!貴様を倒して俺は神になる!!」
デーモニックは、ショーンに向かって、走っていった。
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