第5話「出発」 たまたま出会ってしまったがために 人生は変わる・・・ そう、とある偉人が言ったそうだ。 和藤は下校の準備を済ませた。 和藤の友達は 多くもなく、少なくもないといった感じだ。 しかし、友達リストなるものを付けていたとしたら、 一人、今日は追加される。 カバンに教科書を詰め終え、 片腕で肩にかけて教室を出ようとした。 クラスにはまだ結構残っている人がいた。 他のクラスから来た友達と話す人もいる。 そして、また他のクラスからひとり、 女子が教室に入ってきた。 和藤は見覚えのある顔だと思ったが、 思い出せなかった。 「ショーン」 和藤は振り向いた。 その女子がはっきりそう言っていた。 どこで会った? なんで俺のハンドルネームを知ってるんだ? 誰だっけ? 「このまえと同じ質問だが・・・ なんで俺のハンドルネームを知ってるんだ?」 和藤はドアの前の女子に言い放った。 「私のこともう忘れてるのかと思った」 「たしか・・・山南さん?ですよね?」 「あたりよ。テレパシーと電磁操作、それから通信制御、 簡単に言うと、動物や人間はもちろん、草木、機械とだって会話ができる。」 「なんの話だ?」 そう言ったときだった。 和藤はいきなり頭痛を感じてしゃがみこんだ。 「あ、ごめん、初めての人は痛いのよ、慣れてないから」 「なんだ、何をしたんだ・・・?」 「あんたの頭に直接話をしたんだけど・・・聞こえなかった?」 「なんだ、テレパシーって、このことか・・・?」 和藤は頭を抑えながら震える足で立ち上がった。 「で、何のようだよ」 「一緒に帰ろ☆」 「・・・」 買ってもらったスーツに、 飛行機ファーストクラスのただ乗り。 もういままでの地下生活とはおさらばと 思うのが半分、 まだ連続殺人犯が地下にいるかもしれないと 思うのが4分の一、 残りの4分の一は、隣に座っている 女性のことを考えること。 隣といってもサングラスをかけた男を挟んで、だが。 「これからどこへ行くんですか?」 ミハエルはわざわざ顔を前に出して 隣の隣に座っている女性に聞いた。 「日本よ。」 その女性の名前はシェリー。 「日本に鍵がある」 間に挟まれたノーウェンが言った。 ミハエルは「おまえは黙ってろ」と思った。 またいちいちシェリーに顔を向ける。 「鍵ってなんですか?」 「別名、矢。他にも『海賊の矢』『黄金の矢』と呼ばれている。」 「まだ話が飲み込めないんですが・・・」 「日本についたら詳しく話すわ。」 飛行機のエンジン音が大きくなってくる。 滑走路を走る音も聞こえてくる。 体が一瞬傾くような感じがした。 体が浮く感覚というのは、 水の中でしか体験したことがなかったが、 それ以外では初めての体験をした。 はぁ、10歳にしてもう恋煩いかぁ・・・ 日本なんか行ってどうするんだろ・・・ まさか、会って早々デート? なわけねぇよな・・・ 部屋に黒い服が落ちている。 というか置いてある。 葬式も終わって、 自分の部屋で泣きつかれ、 そして眠っていた。 一昨日の怖かった感覚が未だ体に染み付いている。 ルービーズとは空港で待ち合わせをしていた。 目覚まし時計がなる30分前・・・ 部屋の窓がどんどんと叩かれる。 その音でフィスナは起きた。 窓の外を見ても誰もいない。 第六感が危険を感じ、 フィスナを玄関に走らせた。 玄関のドアは開いていて、 外から生ぬるい空気が押し寄せる。 ドアを閉めた。 そして振り返る。 と、上から風が吹き付けるのを感じ、 後ろに一歩引いた。 と同時に、床のカーペットに切れ目が入った。 「ひっ」 フィスナは思わず声を上げてしまった。 そして横にいた男に気がついた。 「一昨日ぶりだね・・・」 その静かな声から、 一昨日と同じ恐怖を感じた。 「ウィンドブレイカー!!」 男がそういって腕をふった。 空気を裂くような雑音が フィスナに物凄い速さで近づいてくる。 そしてフィスナにあたり、 フィスナは真っ二つになった。 男はニヤリと笑った。 が、すぐにさっきと同じ表情になる。 真っ二つになった フィスナは、雲がちぎれ消えていくように 消えた。 そして男の背後から声がした。 「それは幽体、本体はここ。」 もどる