Self Interview
穂富竜
インターネットの世界で活躍しはじめたマルチクリエイター、穂富竜氏。 小説を始めとし、エッセイ、詩、イラスト、映像関係の場で活躍を見せている。 今月も『鉛筆女』などの作品を発表し、その活躍をますます広げている。 来年初頭には、新作の発表もあるという発言から、我々は彼にインタビューすることにした。
彼の創作意欲は、シュールな物から生まれるという。 インスピレーションやひらめきと言ったクリエイター的才能を使用しない姿勢をとる彼のスタイルは、 千変万化、臨機応変、成せば成るとも言える。
今回はそのシュールレアリストであるマルチクリエイター、穂富竜氏に 創作の裏話と次回作を聞いてしまおうという魂胆である。
(インタビュアー:穂富竜)
(phot:穂富竜)


物を創るのが楽しくってしょうがない、そんな時がよくあるんです。

―まず最初に、自分で自分にインタビューしているお気持ちを聞かせて下さい(笑)

事務所からこんな連絡が来たときは、とんでもないって思いました(笑)。 だって、インタビューがあるからスケジュールを空けといてくれって言われたんですよ。 雑誌の名前もカメラの台数も教えてくれない。 いざフタをあけてみたら自分なんですよ。 人員が少ないなって問題を、直に感じました(笑)。

―TSUとはどんな場所ですか?
ひとことで言えば、退屈な場所です(笑)。 でも、それを面白く変えていくのがその学校の目的でもあるし、 教諭や生徒といった人たちそれぞれの課題でもあるんですよ。 それを知ってて理事長は、退屈な学校づくりをしたそうですよ。 腹黒いといえば、腹黒いんですが…。 そうですね、TSUはTokyoSubcultureUniversityの略称なんですが、 本来は「東京戯技芸第二文化大学」というのが正式名称です。 長ったらしいんで、生徒達はみんなTSUと呼ぶんですけど(笑)。 「戯曲めいた技術や芸術などの第二文化」を学ぶ学校だと思っています。

―創作について、聞きたいのですが何から質問していいでしょうか?
なんでも聞いてくれて構わないよ。もちろん生活のことでも(笑)。 僕は今、一生懸命になってることがある。小説を書くのもそうだし、絵を描くのだってそう。 動画を撮ったりするのも楽しい。 今日も持ってきてるけど、こんな感じでネタをファイリングしていくと面白いですよ。 もう一人の自分をキャラクターとして作ってるみたいで。 物作りが一層楽しくなります。



楽しいだけではない。命がけのものづくり。

―穂富竜という名称にはどういう意味が込められているんですか?
ブランド主である親に聞いてください、と言いたいところだが、本名でもないのにそんなことが言えるわけがない(笑)。 穂富竜というハンドルネームは、元々人からもらった名前なんです。 あ、結局その人に聞いてくださいって話になっちゃうんですね(笑)。 クラシカルトロンプルイユがデビューしたてのころに、僕のハンドルネームを募集したんです。 そしたら、設置してあった掲示板に書き込んでくれる人がたくさんいて。 その中から気に入ったものをピックアップし、つなげたものをフルネーム、穂富竜を和名にしました。

―名前をいくつもお持ちのようで…
ええ。「君の名前は?」って聞かれた時に「イッパイアッテナ」と答えるためにつけました。 というのは、半分嘘です。 留学経験のある自分は、海外で本名が呼びにくいという問題に直面してしまって、そのときにあだ名をつけてもらったんです。 日本人の名前って難しいじゃないですか? だから、下の名前をもじってロイというあだ名をつけてもらいました。

―留学なんて知りませんでした。いろんな穂富さんがいるんですね。
ええ、そうですね。常に成長し続けるためには、自分と戦わなければいけませんから。 周りの人が敵だったとき、一番信用できるのは自分じゃないですか? でも、僕の場合、周りの人が味方してくれることもあって、自分が敵に回ることもあるんですよ(笑)。 だから、そうですね…。ああ、この写真が丁度いい一例です。僕と僕が戦って僕が勝ったところです。


―すごい血が出てますよ!大丈夫なんですか?しかも目玉落ちてるし!
ええ。今こうしていられるのも、奇跡みたいなものです。 そこに写っている左側の僕には結構苦戦しました。

―自分との戦い…少し甘く見ていました。
いえ、それでいいんです。 考えを改めないで下さい。自分が怖いと思っていなければ、いつの自分にだって勝てるものです。 僕の場合は臆病なんで、いつだって命がけです。物を創るときだって、自分を越えようとするわけですから、死線を何度も跨いで来ました。


ルナミの秘密と次回作!

―新たに作品の企画を考えているそうですが…
少しだけこっそり教えましょうか。

―お願いします!
それじゃあ、本当に少しだけ。 現在執筆中のLunaticMs.はリメイク版です。 以前書いていた内容とは文章力が違います。 なんせ、旧ルナミから二年も経ってますから、ほんの少しですが成長しましたよ。 しかし、実は違うのは文章の書き方だけじゃないんですよ。 内容も少し変えているんです。第一話だけ先行発表しましたが、それで気付いた人もいると思います。 旧ルナミの主役は花見涼だったのに対して、新ルナミは花見亜里棲を主点として置いています。 それだけじゃありません。旧ルナミには登場しなかったキャラクターも出てきます。 彼等が入り乱れて亜里棲の学園生活はどうなるのか。 新しい作品の企画というのも、実はそこからつながってきて、井塚、花見に続く第三の家族を主人公に置いたものを考えています。 本当はそれだけじゃないんですがね。「お兄様は元ヒーロー」「メタルタウンズサンダーボルト」「ストライプマン」の世界での作品も考えています。 ぶっちゃけ、ありふれた能力バトルみたいなものです(笑)。それだけじゃ面白みがないと思うので、現在は練っている途中です。

―最後になりましたが、何かひとことお願いします。
僕の座右の銘に「一生現役」というのがあるんです。意味はそのままなんですが、 やっぱりそれって言うは易し、行うは難しなんですよ。 でも、そこで諦めちゃったら今までの僕に申し訳ない。 そういう思いもあってここまでやれたんだと思います。 クラシカルトロンプルイユを見てくれてる人が、壁にぶつかっても諦めないような、そんな人になってくれたら嬉しいです。 僕にとっては「穂富竜には負けないぞ」ってなってくれたら嬉しいです。


―本日はどうもありがとうございました。
(2008.11.3 東京都・TSU第五研究室にて)

Profile

穂富竜

198*年神奈川生まれ。TSU(東京戯技芸第二文化大学)付属高等学校を主席で卒業。 現在は同大学の超現実思想研究センターに所属しており、研究をするかたわら教鞭を握る。 高校卒業後はシュールレアリストの画家、タンスビンツ・ハイン・ハイロゥ氏に弟子入りしシュールレアリズムを学ぶ。 その後数年間行方不明とされていたが、一時帰国しTSUに。 2008年3月中旬、大学の生徒でもあったパニーニ・ウェルサスと柊春に乞われて彼女達を直轄の弟子としてとる。 「シュールレアリズムの今後の成長と時代の追随」をテーマに研究を始め、2008年4月下旬、 三人でクラシカルトロンプルイユを結成した旨を公表した。 その目的については、同研究以外のことは何も分かっていない。 現在、その多岐にわたる活動分野は拡大を続け、止まる姿勢を見せない。

クラシカルトロンプルイユ
教諭を務める穂富竜と、その研究生であるパニーニ・ウェルサスと柊春からなる。 担当はそれぞれ、Sur.穂富、Reaj.パニーニ、Cos.春。 (外部遠征や、多学科研究の時にはサポートメンバーもかけつける。) シュールレアリズムについての研究と、それに基づいた創作を目的とする団体、およびそのWebサイトである。

外部リンク
クラシカルトロンプルイユ

東京戯技芸第二文化大学

穂富先生のブログ!

超現実思想ゼミ生ブログ「しゅれあ!」

サークル・ド・クラトロ