[Type in Your HEART] 第4話「激しく同意」
2時間目も終わり、川峰が秀一の席に行こうとしたとき、 目の前に何者かが現れ、道を塞いだ。 「ねぇえ、川峰さん、将棋部・・・」 「またかよ!」 川峰は再び現れたエレクトロスラムにあきれていた。 「あのねぇ、何回来ても!答えは同じぃ!」 その声に気づいた秀一が川峰の方に目を向ける。 「ん、なにやってんだ?」 「しゅう、こいつしつこいんだよ!将棋部入れって」 エレクトロスラムは背中に悪寒を感じて振り返った。 「おい、てめぇ、どこのクラスだ?」 「え・・・と、隣の隣の隣の隣の上のクラスです」 エレクトロスラムは焦って意味の無いことを喋っていた。 「じゃ、ここはおまえのクラスじゃねぇよな? 痛い目見たくなけりゃとっとと出てけ」 「何言ってんだよ!僕はただ川峰さんと話してただけで・・・」 「話した?話しただと?」 「え、何か?」 「有罪だ。しかも死刑。」 「え?」 「このクラスで俺の許可なしに会話をした他のクラスの者は有罪。」 「何言ってんだよこいつ!」 エレクトロスラムは川峰の方を見た。 「川峰さん、こいつなんとかしてよ」 「だめ。死刑」 「わかった。出てくから!」 エレクトロスラムは焦って逃げていった。 「助かった、ありがとう」 「いえいえ、礼には及びません」 川峰と秀一は向き合っていたが、 そっぽをむいた。 「でも、知らなかったな。 しゅうに許可無く会話しちゃいけないなんて」 「嘘だよ」 「え?」 「だってさ、クラスメイトが嫌がるようなことされたら 見てて腹立つからさ、おっぱらうため適当にこじつけたんだよ」 「・・・」 「あ、ごめん。」 「ん、そんなことないよ。 私を助けるためにそうしてくれたんだから」 秀一はうれしかった。 だけどそれ以上に川峰はうれしかった。 キャー、しゅうにたすけてもらっちゃったぁ? って思っているんだろう。 「あ、そうだ、そろそろ七夕じゃん?」 川峰が話を切り替える。 秀一が七夕というキーワードにピクッと来た。 少しの期待が生まれた。 「笹の葉とか飾ろうよ」 「いいね!」 「激しく同意?」 「は・・・激しく同意・・・」 「ごめん、知らなかった?」 「知ってた、知ってたけど、ちょっとびっくり」 「よかった。しゅうもネットやってるの?」 既知なことを聞いてみること自体には意味は無いが、 この二人の場合は別、 しゅうがネットをやっていることなど、 川峰は知っているが、今まで知らない振りをしてきた。 「やってるよ。ホームページも持ってるし」 「なんていうサイト?」 「う・・・」 川峰は秀一のツボを突いたようだった。 「う・・・」 「う?」 え?なんで「う」なの? たしか「た」でしょ、最初のことばは。 「う・・・」 「どうしたの?」 「お腹が・・・」 「え?大丈夫?」 もちろん秀一は健全、 しかしここはどんなことをしても 逃げ道を作らねばと悟った秀一にはこれしか出来なかった。 「肩、上げて」 「!?」 秀一は驚いた。 驚喜した。 川峰が肩を貸して秀一の体を支えてくれた。 「保健室、行こ?」 「うん、ありがとう・・・」 驚喜のあとに少し後悔した。 もしかして俺に気があるんじゃねぇかなぁ、と。 でもまさかな、と、前説を即撤回した。 戻る