[Type in Your HEART] 第5話「釜村神社」

7月3日 7月3日 夜明け前ぐらいから大雨が降った。 台風も轟々と吹いている。 テレビをつけて見れば大体ニュース。 そして、それは学生共通の喜びだった。 ただ二人を除いて・・・ プルルルル... プルルルル... ガチャッ... 「はいもしもし・・・ はい、桜ヶ丘です・・・ はい・・・はい・・・ はい、わかりました。 次の人に回しますか?・・・ あ、そうですか。 ありがとうございます。 はい、失礼します。」 ガチャッ... 秀一は、自分の部屋のベッドで 哲学の本をペラペラ拾い読みながら、 母親が電話していた音を聞いていた。 「・・・学校・・・休みか・・・」 本をペラリとめくって額に人差し指をあてた。 秀一の考える時、悩んでる時、判断する時の癖である。 「しゅう、今日学校休みだって。 起きてる? 起きてなくてもいいけど」 母親がドア越しに声を張って報告した。 秀一の口から溜息がすっと自然に出た。 秀一は本を閉じた。 「つまんないなぁ・・・」 秀一にとって、川峰がいる学校が 楽しくて今と比べられると、 今の方が苦に思えた。 「そうだ・・・ネットやろ・・・」 ジリリリリ... ジリリリリ... ガチャン... 「はい、川峰です。 はい。・・・ あ、そうですか・・・ 最近は大変ですよね〜・・・ 地球温暖化とかの影響かしらね・・・ はい・・・ ありがとうございます。では・・・」 ガチャン... 川峰の母親が次の人に電話を回す 準備をしている。 「はるの〜、連絡網で 回ってきたんだけど、 今日学校休みだって。 それでさ、次の人、桜ヶ丘さんでいいの―― ねぇ、はるの〜? まだ寝てるの〜?」 少し腹を立てながら、 連絡網の表を取り出して、 次に回すのはどこのだれかを確認して 電話をとった。 「・・・ あ、桜ヶ丘さんですか? 〜」 川峰は母親が秀一の家にかけていることがわかった。 すぐに行って電話代わってもらいたいところだけど、 電話の相手が秀一の母親なら意味が無い。 それに秀一はまだ寝てるかもしれない。 川峰は、ベッドから起きてパソコンの前の椅子に座った。 「学校・・・休みか・・・」 高校なのに珍しいと思った。 前の高校ならどんなことがあっても 学校はあった。 「しゅう、ネットやるのかな・・・」 そう言って、パソコンの電源をつけた。 秀一はネットで自分のサイト、 [Type in Your HEART]の 掲示板を見に行った。 ―――――――――――――――――――――――――――― name:98レモネード♀ date:2005,07,03 time:07,03 subject:学校休みでつまらない ―――――――――――――――――――――――――――― はぅー、今日は学校が休みです。 なぜならば朝方から台風だから です。 なんかつまらないです。 学校行ってあそびたいです。 ―――――――――――――――――――――――――――― レモさんが投稿している。 秀一は早速返信する。 ―――――――――――――――――――――――――――― name:オロナイン軟膏[管理人] date:2005,07,03 time:07,04 subject:RE;学校休みでつまらない ―――――――――――――――――――――――――――― 確かにつまらないですね。 私なんか、学校で好きな人が いるから、その人と話すの 目当てで学校行ってるような もんだからね。 ちなみにうちの学校も休みです。 つまらないです。 ―――――――――――――――――――――――――――― 川峰は、この返信の好きな人という単語に反応した。 ―――――――――――――――――――――――――――― name:98レモネード♀ date:2005,07,03 time:07,05 subject:RE;RE;学校休みでつま... ―――――――――――――――――――――――――――― え、好きな人いるんですか? その人ってどんな人ですか? ―――――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――――――― name:オロナイン軟膏 date:2005,07,03 time:07,06 subject:RE;RE;RE;学校休みでつ... ―――――――――――――――――――――――――――― えーと、言っちゃうんですか・・・ 言いますよ・・・ 同じクラスの子なんだけど・・・ かわいいし、素直だし、 だけどかわいいからモテるし、 で、このまえは他のクラスの男に ちょっかいだされてたから 助けてあげた。 だけどその子にはなんか好きな人が いるらしいんですよ。 もし両思いだったら嬉しいってか 戸惑う。 ―――――――――――――――――――――――――――― ―――――――――――――――――――――――――――― name:98レモネード♀ date:2005,07,03 time:07,07 subject:RE;RE;RE;RE;学校休み... ―――――――――――――――――――――――――――― 戸惑うことないと思いますよ。 告ってみればいいじゃないですか。 ダメ元で(爆死 そうだ、七夕の日に告って見れば いいじゃないですか。 私と同じように。 ―――――――――――――――――――――――――――― 川峰は思った。 「なにやってんのよ、私・・・ 告らないで様子見してればって言えばよかった・・・ それにしても、だれだろ・・・ 好きな人って・・・ もし私なら嬉しいけど・・・」 携帯電話が鳴った。 友達の皆藤雄介からだ。 「もしもし・・・」 『おう、しゅう、いまから遊ぼうぜ!』 「え、何言ってんだよ、外雨だぜ」 『いーや、ネクラ野郎、しっかり外見てみ』 「ネクラッ!?古ッ!」 『いいから』 カーテンを開けて外を見てみた。 眩い光が窓から差し込んだ。 「お、晴れてる!」 『学校も休みだし。今ん所は。』 「今んところ?」 『連絡網で学校来てくださいって電話が来る前に 逃げようぜ! そうしないと学校行く羽目になる』 「うーん、わかった。」 秀一は、電話を持ちながら、 片手で着替えを済ませた。 電話を切っても良かったのだが、 木本鈴音という彼女のいる雄介から いろいろ恋愛について聞きだせると思ったから 電話を切らなかった。 「で、どこ行くんだ?」 『釜群(かまむら)神社』 「あ〜、竹がいっぱい生えてるところ?」 『そ。』 「もしかして七夕の準備を企んでるのか?」 『企・・・ん、まぁそんなとこだな』 「わかった。すぐ行く」 秀一は、電話を切って財布などを持って 家を出ようとした。 「しゅう、ちょっとどこ行くの?」 「遊びに」 「なに言ってるの!学校から電話が来たら どうするの?」 そのとき、家の電話が鳴った。 しまったと思った。 「じゃ、俺行くから」 「待ちなさい!学校から電話だわ」 そう言ったときにはもうすで秀一は 家を飛び出していた。 釜群神社に着いた時には 雄介と木本がいた。 あともうひとり、近づくまではわからなかったけど 女の子がいた。 「待たせたな」 秀一がそう言うと、女の子が振り返った。 それは川峰春乃だった。 「しゅう・・・」 「川峰・・・」 戻る